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いちめんのあさがお ―鈴木其一『朝顔図屏風』―

 2008/07/20(Sun)
 今日の新日曜美術館「踊る朝顔」は、実に珍しく鈴木其一が主役でした。酒井抱一大好きな私にとっては、彼の一番弟子で代作もよく勤めたという(笑)其一の名前はもちろんお馴染みですし、琳派目当てで巡った美術展などでも彼の作品には数多く出逢っています。特に代表作の「夏秋渓流図」(根津美術館)は光琳や応挙と共に何度も見ている作品で、また最近では三井記念美術館で、今日の番組でも紹介された朝顔の掛け軸を見てきました。(でも最初遠目で見た時は、一瞬抱一かと思ってしまった。苦笑)

 さてその其一さんですが、まず最初に白状しますと、実を言えば抱一ほど私の好みというわけではありません。(ごめんなさい) 初期の作品は本当に抱一そっくりで好きなのですが、独立後の彼独自のシャープで今見てもモダンなセンスが発揮されるようになってからの絵は、申し訳ないけれどそれほど心惹かれる作品は多くないのです。
 とはいえそんな中にも例外はあるもので、其一の其一らしい絵として私が一番好きな作品というのが、何を隠そう今回の主役「朝顔図屏風」なのでした。

 初めて「朝顔図屏風」を知ったのは、まだ琳派を知って日が浅かった頃、お手軽な琳派入門書として面白そうだなと購入した「琳派に夢見る」という本の中でのことです。きらびやかな金地に鮮やかに描かれたリズミカルで豪華絢爛な朝顔の美しさに、まさに一目で虜になってしまいました。
しかし悲しいかな、この屏風は海外流出して現在メトロポリタン所蔵となっており、そう簡単に会いにいけるようなものではなかったのです。何でこんな凄いものを流出させたんだと地団駄踏みつつ、いつか見たいなあと長年憧れ続けた、私にとっての幻の作品でした。
 それが忘れもしない4年前、かの「RIMPA展」で里帰り作品の中にこの「朝顔図」が入っていると知った時は、そりゃあもう飛び上がりました。会期の始まりをじりじりしながら待ち焦がれ、やっと念願叶って対面した現物は思ったとおりそれは美しく、しかも嬉しいことに保存状態も大変良好だったので、それでまた感動を新たにしたものです。この時は会期中合計4回通いましたが、同じ展示室に置かれた抱一作「月に秋草図屏風」と並んで、毎回会いに行くのがとりわけ楽しみな作品でした。

 ところで、この「朝顔図」を初めて見た時の第一印象に「あれ、何だか光琳の燕子花屏風に似てるなあ」というのがありました。金地に殆ど青と緑だけで描いた花、そしてリズミカルにうねるような構図(其一はまた一段と躍動的ですが)という共通点もあって、何だかこの人抱一よりも光琳にセンス近かったのかしら、と感じたのを憶えています。もっともモチーフを大胆にデザイン化する光琳や、対象を実物以上に美しく繊細に理想化する抱一ともまた違って、其一の絵はモダンな上にどこか若冲とも通じる博物学的な世界だなあと、内心密かに思っていました。
 そんなこんなで、今回の番組はそんな個人的感想が私だけのものではないのだなと判って大いに嬉しくもあり、また江戸時代における朝顔や博物学などの背景にも触れていて、全体にとても興味深く面白かったです。しかし考えてみると、私は特に西洋のボタニカルアートとかはあまり得意ではない方で、だから若冲や其一も(作品によりますが)微妙に苦手だったりするんでしょうね。(^^;)

 さて、ここでひとつ、番組冒頭の紹介についてちょっと文句?を述べたいと思います。

 一体誰が説明書いたのか知りませんが、あれでは抱一さん、何だかとっても勝手で我侭な酷い人みたいではないですか!(笑) いやそりゃ身の回りの世話させたのも代作頼んだのも事実ですが(ちなみに代作はばっちり証拠の手紙も残ってます)、そもそも二人は師弟でしかも主従関係でもあったのですからそのくらい当然ですし、大体あの時代の職人の丁稚奉公なんてもっと大変だったでしょう!(特に其一自身、職人出身なんだから尚更それはよく知っていたと思う) それに抱一だってさらに光琳だって、琳派の巨匠は40前後からの遅咲きの人が多いんだから、其一一人が回り道させられたみたいな言い方はしないでくださいよー!!
 ……こんなところで息巻いてもしょうがないのですが、ともあれ抱一から直接伝授された基礎的な技術はもちろんのこと、抱一の属していた文化サークルとも其一は大いに縁があったようですし(確か亀田鵬斎にも可愛がられたとか)、そういう人脈などからも得たものはきっとたくさんあったと思います。(遊郭遊びはまた別として。笑) だからその後彼が雨華庵を継承することなく、一人立ちして別の道を切り開いていったのも抱一との決別ではなく、師匠から受け継いだものを踏まえた上で自ら新しい世界へ進んでいったのだと、私としてはそう信じたいのでした。

 ともあれ、確かに抱一さんは大名家出身にしては(むしろだからこそ?)案外自由奔放そうなイメージもある人ですが、思えば彼が敬愛した光琳も私生活は相当かっとんだ人だったのですよね。そしてそんな光琳を堅実な弟乾山が終生支えたように、遊び人抱一さん(笑)とその真面目な?弟子其一も結構いいコンビだったのではないかしらんと想像すると、それはそれで何だかとても楽しい気がします。以前読んでとても面白かった小説「兄は光琳」のように、誰かそのへん書いてくれる人がいたらいいんですけどねー。(^^)

 あ、最後になりましたが、番組に出てきた真正面からの向日葵の絵を見てふと、さらに後の神坂雪佳が描いた金魚の絵(同じく真正面から描いたあれです)を思い出しました。ああいうある意味シンプルで大胆な構図は今見てもとても新鮮でしかも何だかユーモラスさがあって、二幅並べてみたら面白そうな気がします。(ちょうどどっちも夏の題材ですし。笑)


おまけ:今回の参考書籍

琳派に夢見る (美術館へ行こう)琳派に夢見る (美術館へ行こう)
(1999/02)
仲町 啓子

商品詳細を見る
琳派入門のお手頃な1冊。美術館情報も重宝。(ただしデータが少し古いので注意)

日本絵画の見方 (角川選書)日本絵画の見方 (角川選書)
(2004/12)
榊原 悟

商品詳細を見る
知ってはいけない?日本絵画における贋作事情の案内書。(笑)
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