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時を越える便り フェルメールからのラブレター展
2012/02/11(Sat)
2011年12月30日と、今日2012年2月11日の2回、Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催中の「フェルメールからのラブレター展」(2011.12.23-2012.3.14)へ行ってきました。大分前から宣伝されていたこの美術展、世界中に6点現存するフェルメールの「手紙」の絵を何と一度に3点集めて展示するというので、私も大変楽しみにしていました。今や日本でもすっかりお馴染みになったフェルメールですが、こうした切り口からの美術展は初めてで、面白い試みですよね。ここ数年毎年フェルメールが来日するのがもう殆ど定着してきただけに、ただ数だけではない様々な角度からのアプローチが今後も出てくることを期待します。
さて今回、私が最も惹きつけられた一枚は、今日の「美の巨人たち」でも取り上げられた「手紙を読む青衣の女」でした。もっとも現物を見ると、あの印象的な青い服は写真やTVの画面で見るほど鮮やかではなく、ややくすんで灰色がかったような青なのですが、フェルメールならではの静謐な雰囲気とやわらかな光、そしてうつむき加減の女性の横顔が実に美しい絵です。今まで私も10点以上のフェルメールを見てきましたが、一番人気?の「真珠の耳飾りの少女」よりもこの絵の方が好きかな、と感じました。思ったよりも小さめの絵だけに、これくらいなら自宅に飾ってみたいような可憐な作品です。

静かな横顔が魅力的。誰からの手紙を読んでいるのでしょう?
ともあれこのラピスラズリの青は、つい最近修復を終えたことで往時の鮮やかな色が甦り、それ以外にも全体的に随分と印象が変わったようです。金色の鋲を打った青い椅子も、ラピスラズリの青とはまた違うけれどやはり他のフェルメール作品にもよく出てくるもので、もしかすると画家自身の愛用の品だったのかもしれないのかなあなどと空想を巡らせるのもまた一興でしょう。
ところでこの絵、他の二点「手紙を書く女」「手紙を書く女と召使い」と見比べていてふと気付いたのですが、背景は三点の中で「青衣の女」が一番明るいのに、何故か光源であるはずの窓が描かれていません。(「手紙を書く女」も窓のない絵ですが、こちらは背景も暗いです) あれれ、と思い、後で会場外にあったフェルメール全作品リストのパネルを見てみると、明らかに窓際と思われる明るい絵でありながら窓がないのはやはりこの「青衣の女」だけでした。やわらかな光ながらこれは夕方よりは真昼かな、という印象で、「美の巨人たち」ではフェルメールの妻がモデルではないかとしていましたが、何にせよ状況としてはやはり「遠くの恋人(あるいは夫)から届いた手紙」を読んでいる姿を描いたと考えるのが一番妥当でしょうね。

「手紙を書く女」
この絵は二回目の御対面。1999年のワシントン・ナショナル・ギャラリー展以来です。
(以前も書きましたが、この毛皮は絶対アーミンではないと思います…)

「手紙を書く女と召使い」
こちらも二回目。前回は2008年のフェルメール展でした。
なお今回はフェルメールに限らず、他の展示作品も手紙にまつわるものを多く集めていて、当時のオランダの風俗が色々判って面白かったです。また解説パネルにあった当時の手紙の作文例というのが傑作で、特に「男性から女性へのラブレター」のお手本は、読んでいるこちらまで歯が浮きそうな文面に思わず笑ってしまいました。まあヨーロッパの人ならやりそうではありますが、それに対する女性の返事の例が「やんわりとしたお断りの場合」というのがまた酷いです…(笑)
とはいえ、手紙に苦労するのは昔も今も洋の東西を問わず変わらないようですね。現代はEメールであっという間に届けることが可能になりましたが、こうした絵画を見るとやはり昔ながらの手書きの手紙もいいものだなと思います。最近は年賀状や暑中見舞い以外すっかりご無沙汰してしまっていますが、久しぶりに何か一筆書いてみようかな、という気持ちにさせられました。
関連過去ログ
・白い毛皮の黒いぶち
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