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風流公子の夢 酒井抱一と江戸琳派の全貌(1)

 2011/10/14(Fri)
 10月10日(月・祝)、待ちに待った千葉市美術館の「酒井抱一と江戸琳派の全貌」(2011/10/10-11/13)展へ行ってきました。

  酒井抱一展

 今回久しぶりに初日を狙ったのは、細見美術館の館長・細見良行氏と同研究員・岡野智子氏のオープニングトークがあったためです。これは先着順というので、頑張って開館の10時までに間に合うように早めに出かけて行ったら、既にかなりの人が開館待ちの行列を作っていて驚きました。東京ならともかく千葉の、しかも酒井抱一メインの美術展にあれだけの人が集まるなんて、嬉しい驚きでしたね。

 ともあれ無事開館、2フロアに分かれた会場をじっくりと見て回りましたが、いやあもう壮観の一言に尽きました。行っても行ってもひたすら抱一、抱一、抱一で、いかにも琳派的な作品だけでなく浮世絵あり仏画あり蒔絵ありと、内容も実に多彩です。あれほどの数のしかも多様な抱一をまとめて見ることができたのは、ファン暦16年の千尋にとっても初めての経験で、まさしく至福のひと時でした。
 また驚いたのが、今回初出展の作品が予想外に多かったことです。画集や論文で知っていたけれど見るのは初めてという作品はもちろんのこと、研究者も存在を知らなかったものが近年見つかって初お目見え、というものがぞろぞろあって、これには本当にびっくりしました。シリーズの一部が欠けている作品はある程度存在が予想できますが、今後も研究が進めばまだまだこうした新発見があるのかもしれませんね。
 さらに今回、姫路市美術館が主催に加わっているだけあって、最初のコーナーに酒井家に関する資料が数多く揃っていたのも大変興味深かったです。特に抱一のお兄さん・宗雅(忠以)の書や絵画は初めて見るものばかりで、中に「栄八(抱一)にお年玉をやった」などという微笑ましい内容のものがあったのにはちょっと笑いました。(でもこの頃の「お年玉」ってどんなものだったんでしょう?)

 さて、午後1時からのオープニングトークですが、こちらも1時間前から行列ができるほどの人気で大盛況でした。
 最初は細見館長と岡野氏が別々に話す予定だったそうですが、打ち合わせをしてみたら内容が殆ど被っていた(笑)そうで、結局岡野氏がメインで話しながら時折細見館長がコレクションにまつわるちょっとした裏話などを添える、という形での講演となりました。岡野氏の方は大琳派展でも講演を聴いたことがありましたが、細見館長の方は初めてでどんな感じだろうと思っていたのですが、いやー面白い方ですね! (笑) こうした講演にも慣れていらっしゃるのか、大変気さくな雰囲気でユーモアたっぷりに話される方で、今まで聴いたことがなかったのが残念なくらいでした。
 というわけで、特に印象に残ったものや面白かった話題をいくつかピックアップしてみます。

・日曜美術館の反響
 9月放送の酒井抱一の回で、姫路市美術館へもかなりの問い合わせが行ったそうですが、最も多かったのが「(尾形光琳の)風神雷神図は出るんですか!?」…だったそうです。(苦笑) いや、あれもそもそも俵屋宗達作のコピーなんだし、他はともかく「風神雷神図」だけは何よりもまず宗達を見た方がいいと思うんですが、何だかちょっととほほなエピソードでした。

・細見美術館と琳派展
 細見さんの琳派コレクションの充実ぶりは昔から知る人ぞ知るでしたが、細見美術館が開館した当時は伊藤若冲でさえまだ大ブレイクする前だったそうです。(※細見美術館はブレイク前から凄い若冲コレクションを所蔵してます) まして抱一は推して知るべしで、ちょうど10年前に初めて抱一をメインで取り上げた「琳派展IV 風流公子 酒井抱一展」は私も見に行ったので憶えていますが、その頃は殆ど反響がなかったと苦笑しておられました。(ちなみに開館当時、マスコミの取材で必ず訊かれたのが「印象派はないんですか?」だったそうです…^^;)
 確かに、私が今まで見てきた琳派展でも特に「酒井抱一」にスポットをあてたものは、細見美術館の他は出光美術館しか憶えがありません。(※今年の畠山記念館除く) もっとも私にとっては、1996年に日本橋高島屋開催の「日本の美「琳派」展」が細見コレクションの初見で、最初に細見美術館を訪れたのも2000年「琳派展III 京の琳派意匠―光琳から雪佳へ―」の時でしたから、結構長いお付き合いをさせていただいてる方に入るのかなと、個人的にちょっと嬉しかったです。 
 なお細見館長が「美味しいイタリアンレストランもあります」と宣伝して笑いを誘っていましたが、ここのレストランは本当に美味しくてお勧めです。私も細見へ行く時は必ず食事も一緒と決めているのですが、ただ時々結婚式の二次会などで貸し切りになっていることもあるので、お日柄のよろしい時は要注意なんですよねー。

・細見館長と酒井抱一
 細見館長はどちらかといえば鈴木其一のファンでいらっしゃるようですが、抱一の作品もどれもとても上品で、「この人は一生、綺麗なものしか見なかったんじゃないかという気がする」とコメントされていました。また抱一が殆ど水墨画を描いていないことにも触れ、曰く「網膜にカラースライドが入ってたんじゃないか」だそうです。(笑) 抱一作品に水墨画がまったくないわけではないですし、大胆な華麗さというならむしろ宗達や光琳の方がはるかに派手ですが、とはいえ確かに抱一の描く世界は「典雅」という言葉がぴったりくる優雅な華やかさも魅力ですね。

 なお近年やっと知名度の上がってきた抱一の中でも、細見美術館で一番人気の作品は実はその水墨画風の「白蓮図」なんだそうです。以前参加した大琳派展オフでも好きだという声が多く聞かれましたが、細見館長も「地味に人気が上がってきていつの間にかうちのスター作品になっていた」と笑っておられました。琳派と言えばもっと華やかなイメージが多く、また近年の若冲ブームに見られるようにビビッドな作品が人気の主流かと思っていましたが、こうした楚々とした味わいの作品が愛されるのもやっぱり日本人の好みの傾向なんでしょうか。私もこの一幅は特に好きな抱一作品のひとつであるだけに、ちょっとほっとしたような嬉しさがありました。(すみません若冲やっぱり苦手なんです…)
 ちなみに私がこの絵と最初に出逢ったのは、確かBunkamura開催の「琳派空間」(1999)です。あの時も華やかな金屏風がずらりと並ぶ中、ぽつんと佇むように展示されていたこの清らかな純白の蓮はとても目を惹かれました。今回の抱一展では仏画コーナーに敢えて配してみたとのことで、細見館長も実際に仏事でお使いになったことがあるそうです。


  白蓮図(酒井抱一)
  「白蓮図」。命の流転を清浄に描いた端正な一幅。


・細見館長と鈴木其一
 細見館長はマスコミの取材でよく「若冲以外で、今後ブレイクしそうな埋もれた画家はいませんか?」と訊かれるたびに、鈴木其一を推しているそうです。これは私も前々から思っていたことだったので、おおやっぱり、と大変心強い賛同者を見つけて嬉しくなりました。(ただ私は断然師匠の抱一一筋なので、プッシュする方は今後も細見館長にお任せします。笑) 
 またこれは琳派研究者(特に江戸琳派)の皆さんがよく歎くことですが、鈴木其一はその名前すらも埋もれていた時代に随分海外流出してしまい、特に大作の屏風絵は殆ど日本に残っていません。私の大好きな「朝顔図屏風」も現在はメトロポリタン所蔵ですし、こうした美術館に入ってしまったものはもう殆ど取り戻しようがないですが、細見館長はそうした流出作品を見つけるとできるだけ買い戻しているそうです。こうした活動はなかなか一般人にはできないことだけに、これからも細見美術館さんには頑張ってほしいと心から思いました。(でも細見館長、其一が抱一の没後「爆発しちゃった」という表現はこちらの方が爆笑でしたよ。笑)

 以上、約1時間半ほどでしたが大変内容も濃く、また楽しい講演でした。なお講演会は今後予約制で3回予定されており、第1回の「酒井抱一の雅俗」(千葉市美術館館長・小林忠氏)はめでたく申込当選の通知が来ましたので、また張り切って行ってきます!

 なお美術展は途中に大きな入れ替えがあり、代表作「夏秋草図屏風」は後半11/1から登場です。なお同一期間に出光美術館所蔵の「夏秋草図下絵」も出るそうなので、もしかすると初めて(!)下絵と本作を並んで見ることができるかなとちょっとどきどきしてますが、さてどうなんでしょう…?

P.S
 今回、ポスターは大・中・小の三種類があります。荷物が多かったのでどうしようかと思いましたが、結局全部買ってしまいました。(笑) 図録も重くて帰りがちょっと辛かったですが、抱一尽くしで幸せでした。(^^)


 参考:酒井抱一関連資料・リンク集

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コメント
お久しぶりです。
訊ねてみて良かったです。11月1日から夏秋草図屏風を見られるのですね。少し遠いけれど絶対行きたいと思います。八月の始めに国立博物館のサイトで調べたのに展示予定がなかったので、この情報は嬉しいです。
 無謀な挑戦と笑わないでね。今私は蔦を描き続けています。蔦の葉の色を緑青と白緑で描いたら気に入らず、先週は黄草に群緑をかぶせたら思うような葉の色になりました。三十年程前に日本画を勉強していた頃描いた、家の庭の色づいた蔦の葉が上出来でした。その後仕事に追われ絵を描かなくなりました。昨年再開して、まだそれを越える絵が描けていません。あつかましく夏秋草図のようにすすきをからませて描きたいと挑戦しています。
白蓮は、11月も見られるでしょうか?これもぜひみたいですね。宗達より上品にまとまっていますね。若い頃これと同じ縦長の構図で描いたことがあります。嵐山の天竜寺の蓮に感動して帰りの新幹線の中で縦長の構図が浮かんだのですが、今なら岩絵の具をこってり塗らない水墨画で描きたいものです。
【2011/10/23 14:54】 | 赤絵 岬 #- | [edit]
>赤絵岬さま

 コメントありがとうございます。はい、夏秋草図は11月から待望の登場です。大体2年に一度くらいは東博の常設展などでお目にかかれる絵ですが、東博から出張するのは随分久しぶりらしいとのことでした。
 また白蓮図も、細見の所蔵品の中でも比較的よくあちこちで展示される人気作品で、私もこの絵に会うのはいつも楽しみです。こちらは幸い全期間展示予定とのことなので、ぜひじっくり味わってきてくださいね。

【2011/10/26 22:45】 | 飛嶋千尋 #- | [edit]












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【2011/10/30 22:15】
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