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絢爛たる謎

 2011/07/06(Wed)
 古い日本美術の展示会などに足を運ぶと、時折百人一首の歌人を題材にした絵画作品に出逢うことがあります。中でも有名なのは尾形光琳作の「光琳かるた」でしょうが、残念ながらこれはいまだに実物を見る機会には恵まれていません。(複製はよく売っていますけれど)
 それはさておき、千尋が今まで見てきた中で特に素晴らしいと思ったのは、狩野探幽による「百人一首画帖」です。今に伝わる「百人一首画帖」作品の中でも特に古いものだそうで、昔探幽展で在原業平と右大将道綱母の絵を目にする機会があり、その王朝風の優雅で洗練された美しさに一目惚れしてしまいました。
 ところがこの作品、「画帖」というとおり冊子の形式になっているものですから、美術展では当然一度に全部の作品を見ることはできないのです。酒井抱一の「絵手鑑」といい、こういう作品は観覧する側には非常に悔しいもので、しかも全部の作品を収録した画集などがないというのがまた悔しいのでした。

 しかも探幽の「百人一首画帖」の場合、さらに困ったことに、この画帖を描いたのは探幽一人ではないのです。百人の歌人たちを探幽と四人の絵師が一人二十人ずつ分担して描いたもので、おまけに探幽が描いた二十人が誰々なのかも判らないのですよ。(ちなみに探幽展で図録に掲載されていたのは十人でした)
 というわけで、百人一首の本で図版の豊富なものを見かけると、必ず手にとって探幽の画帖がないか調べてみたのですが、探幽筆の二十人全員を載せている本というのはやはり見当たりません。しかもこの画帖、どうやら個人所蔵らしくてその後美術展でお目にかかる機会にも恵まれず、長らくこの問題は保留のままでした。

 ところが最近、たまたまweb上で久しぶりに、この画帖の一部を引用した写真を見かけました。出典は別冊太陽愛蔵版の「百人一首」という本らしく、今まで見たことがありません。しかもさらに調べてみると、この愛蔵版は1974年発行で当時一万円(!)という凄いお値段だったのです。百人一首を紹介する本は数多くありますが、ここまで豪華なものはちょっとお目にかかったことがなく、もしやと思いました。
 そしてさらにあちこち調べた結果、ようやくその愛蔵版の実物に出逢えました。表紙からして探幽筆の美しい「伊勢」の絵で、どきどきしながらページをめくってみると、まさしく念願の探幽の手になる二十人の歌人たちが見事全員勢揃い! しかもさらに嬉しいことに、特別付録として実物大紫式部(もちろんこれも探幽筆)の口絵までついていて、もう大感激でした。今ではなかなか手に入らない絶版本なのが惜しいですが、やっと長年の疑問のひとつが解消して嬉しかったです。

 というわけで、「百人一首画帖」のうち、探幽作の二十人は以下の面々でした。

 ・天智天皇 ・持統天皇 ・柿本人麻呂 ・山部赤人
 ・小野小町 ・河原左大臣(源融) ・在原業平 ・伊勢
 ・管家(菅原道真) ・紀貫之 ・右大将道綱母(蜻蛉日記作者) ・和泉式部
 ・紫式部 ・皇太后宮大夫俊成 ・式子内親王 ・後京極摂政前太政大臣(九条良経)
 ・前大僧正慈円 ・権中納言定家 ・後鳥羽院 ・順徳院

 さすが探幽、百人一首の中でも一際豪華な顔ぶれです。このうち女性の歌人は七人で、百人一首全体で二十一人ということを考えるとかなり高い割合でしょう。(何故か清少納言は抜け落ちてますが) しかもさらに少ない皇族の女性二人(持統天皇と式子内親王)もしっかり独占していて、持統天皇が十二単を纏っているのは変なのですが(笑)そんな考証もどうでもいいくらいに美しい絵で大感激でした。
 というわけで、先日賀茂斎院サイトを立ち上げた縁もあることですし、ここでは式子内親王をご紹介。


  探幽作式子内親王
  「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする」


 別冊太陽愛蔵版は見開きのため、この画像は吉原幸子著『百人一首』(平凡社)より引用しました。しかしこの構図、かの有名な佐竹本三十六歌仙の斎宮女御(徽子女王)とそっくりなのですよね。
 確かに斎宮女御と式子内親王は、伊勢斎宮と賀茂斎院出身の女性皇族歌人という珍しい共通点を持つ人たちで、時折対で描かれているのを見たりもしますが、あの構図は斎宮女御の絵の中で一番有名なものというわけではありません。それに画帖の他の絵は、佐竹本と同じ人物を描いていても、構図は全然違っているのです。(例えば小町は正面を向いた細長姿で、逆に佐竹本小町のあの後ろ姿にそっくりなのは何故か紫式部です) 人麻呂も元々伝統的にあの構図が決まっていたはずだから真似とは言えないし、果たして探幽はあの佐竹本を見たことがあったのでしょうか?

おまけ:
  
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(2006/09/16)
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 何故か表紙画像が出ませんが、1巻の表紙は探幽筆の持統天皇です。(2巻は崇徳院)

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