佇む女

 2010/06/18(Fri)
 どうもこんにちは、4~5月は色々と多忙ですっかりブログも放置状態でした。一応美術展はぽつぽつ出かけていたものの、それでも通常のペースに比べればかなり少なかったです。実際あまり興味を引かれるものもそれほど見当たらなかったので、落ち着いたら今年の後半で巻き返さなければ…!

 さて、6/12は今話題の国立新美術館「オルセー美術館展2010」(2010.5.26-8.16)へ行ってきました。
 今回は1年前にルソーの「蛇遣いの女」が来ると聞いて大興奮、それはぜひ見に行かねばと意気込んでいたので、10時の開館ちょうどに美術館に着いたのですが…甘かったです。館内に入ると、何と2階の会場へ向かうエレベーターは早くも入場規制の行列ができていてびっくり。そうだ、日本人は印象派が大好きな国民だったんだ…と、遅まきながらこの時になってやっと思い出しました。(苦笑)
 というのも、実は千尋、日本人では珍しく?印象派はあまり好みではない少数派なので、今回の美術展も正直言って内容の大半はそれほど関心はなかったのです。というわけで、入場するや脇目も振らず一目散に奥を目指し(ただしゴッホの「星降る夜」だけは立ち止まってじっくり見ました)、ようやく足を止めたのがこの絵の前でした。

  モロー「オルフェウス」

 私が最初にこの「オルフェウス」を知ったのは、かれこれもう20年くらい昔、当時はまだ殆どなかったモローの画集の中でのことでした。確かその時は「オルフェウスの首を持つトラキアの娘」という題だったように記憶していますが、モロー得意の「サロメ」の華麗なバリエーションと一見似ているようで、けれど妖しく官能的なサロメとはまったく違ってただ静かで悲しげな、それでいてどこか牧歌的とも思える美しさに一目で魅せられました。以来モローの作品の中でも長い間憧れの絵のひとつで、今回来日してくれたことは本当に嬉しかったです。
 ところでこのトラキアの娘?の衣裳、画集等で見た時はさほど気にかけなかったのですが、あの大きな実物を見ると大変に緻密に描きこまれていたことに初めて気付きました。どこかインドやエジプト等のエキゾチックな趣漂う模様や、一見地味だけれどもよく見ると実に豪奢な布地など、まさしくモローの真骨頂そのものです。しかもこのドレス、今まで青のような緑のような…と漠然とした印象だったのですが、実物をよくよく観察すると、青い長袖のブラウス?に緑のロングドレスを重ね着?していたのですね。何だか今流行のマキシワンピースのようで、連想してちょっと笑ってしまいました。(何しろ当日の千尋の服装もまさにそのマキシだったので。笑)

 ともあれ、まだこの辺りはそれほど混んでいなかったのを幸い、隅から隅までじっくりと鑑賞した後、名残を惜しみつつも今度こそ「蛇遣いの女」に突進しました。

  ルソー「蛇遣いの女」

「オルフェウス」はただただその美しさにうっとり見とれましたが、こちらは見ていると次第にその中に引き込まれていきそうな、何とも不思議な現実には存在しない「幻想の熱帯」の世界です。満月が昇ったばかりの薄暮でしょうか、薄暗い空を背景にジャングルに黒く佇む女と、その周囲を取り巻き絡みつく蛇のシルエットは、まるで横笛の妖しい響きさえ聴こえてきそうでした。
 ルソーの絵と言えば明るい極彩色の絵が真っ先にイメージに浮かびますが、私は「眠るジプシー女」やこの「蛇遣いの女」のように抑えた色調の絵の方がお気に入りです。とりわけ「蛇遣いの女」は、これも子どもの頃に何かの画集で見て強烈に印象に残っていた憧れの絵だったので、まさか日本でこれと「オルフェウス」を一度に見られるという幸運に出会えるとは思いませんでした。本当にありがとうオルセー美術館!

 そうそう、「オルフェウス」と「蛇遣いの女」の周辺は他にも好みの作品が多かったのですが、中でも「あれ、いたの?」(笑)と驚いたのがハンマースホイの「休息」でした。ごく小さな額縁の中にお馴染みイーダがあの独特の謎めいた後ろ姿を見せていて、これもまた見ようによっては何だか少しぞくっとするような、けれども不思議と強く引きつけられる絵です。以前西洋美術館で見たような大回顧展にはそうそうお目にかかれないでしょうけれども、思いがけない所の再会にちょっと嬉しくなりました。

 そんなわけで、申し訳なくも大変限定的な(^^;)千尋のオルセー2010は、1時間弱ほどで無事終了しました。できれば後もう一回見に行きたいなと思ってますが、それにしても最後のグッズ売り場に「オルフェウス」のポスターやクリアファイルなどが全然なかったのはちょっと悔しかったです。モローだって日本では結構人気の画家なんだし、作ってくれれば絶対人気商品になったと思うんですけどねえ…残念。


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