蒼き狼の故郷

 2010/02/22(Mon)
 2月20日、江戸東京博物館にて開催中の「チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展」(2010/02/02-04/11)へ行ってきました。

  モンゴル展

 今回は「美術展」というには少々毛色が違いますが、何しろ昨今古墳時代にすっかりハマっていることもあって、モンゴルなら似たような中央アジア由来の金細工も多いかも、という期待もありました。去年の「ユーラシアの風 新羅へ」も小規模ながらとても見応えがありましたし、古代日本に興味を持つと自然と東アジアへも興味が広がるのは最初ちょっと意外でしたが、そもそも文明は西からやってきたのだから当然ですね。

 さて、まず冒頭はモンゴルよりもさらに古い時代、当時の中国の辺境に位置した異民族の歴史から始まりました。
 匈奴、鮮卑、突厥、契丹etc、高校の世界史でかろうじて名前だけを憶えた程度の民族がぞろぞろ出てきたのにちょっと驚きましたが、中国風の青銅器などはまあ予想の範疇としても、鮮卑が中国から下賜された金印・銀印は一見してお馴染みの日本の国宝金印「漢委奴国王」(福岡市博物館)にそっくりです。(ただしツマミはヘビではなくラクダでしたが) さらに鹿の文様の銀皿はこれまた正倉院のお皿に瓜二つで、かと思えば黄金細工の鹿の頭を象った冠飾りはどこか新羅の冠にも似ていますし、突厥の金細工で華やかに飾った長いベルトは、これまた新羅の王墓から出たベルトを連想させます。(ただし突厥のベルトは何に使うのか、小さなポシェット状の袋がぶらさがっていました) さらに契丹の墓から出土した馬具一式(銀に鍍金)は、かの有名な藤ノ木古墳のきらびやかな馬具にやはりそっくりで、古代アジアの交流の豊かさがまざまざと見てとれました。いやあ、古墳絡みでのお勉強がこんなところでこんなに役に立つとは、嬉しい誤算でしたね。

 続いてようやく真打ち登場、英雄チンギス・ハーン関連のエリアですが、国宝級の貴重な品々がずらりと並んだ様子はさすがに壮観でした。実物よりはやや小さいながらも忠実に再現したゲル(テント型住居)やチンギス・ハーンの霊廟が置かれていて(ちゃんとお酒も供えてありました。笑)、背景に草原の写真をパネル状に壁に貼り付けた一角は、まさにモンゴルの大草原を切り取って来たような気がします。豪華な金細工もさらに一層洗練され、また仏教、景教(ネストリウス派キリスト教)、イスラム教など様々な宗教由来の異物が混在しているのも面白くて、なるほど世界帝国として名を馳せたモンゴル(元)らしい遺物だと感じました。

 さて最後は明から清にかけての近代のモンゴルについてでしたが、このエリアはますますきらびやかで、中でも女性の民族衣装の飾りが凄いというかとんでもなかったです。(笑) 特に髪飾りなんて一体どうやったのだろうと、見ている方が開いた口がふさがらなくなりそうな代物なんですが、そういえば例の「謎解きアクセサリーが消えた日本史」で、遊牧民は全財産を装飾品にして身につけるものだとあったのを思い出して大いに納得しました。確かにこれなら持ち運びはできるでしょうが、しかしそれにしてもあまりに重すぎるんじゃないでしょうか…
 そして極めつけ、今回一番仰天させられたのが、モンゴルの親王が身につけたという毛皮の帽子。茶色の毛皮の上を赤いふさふさの糸で覆い、その上に銀細工の飾りを載せててっぺんにルビーを一玉あしらっているのですが、このルビーの大きいこと! 今回の来日で調査の結果、間違いなく本物のルビーと判って関係者一同も驚いたそうですが(というのも、昔ルビーと言われたものは大抵スピネルとか他の石だったので)、あれ一体何カラットあるんでしょう…

 そうそう、宝石と言えばもうひとつ、冒頭のエリアに匈奴の瑪瑙の首飾りがありました。これが鮮やかなチョコレート色の縞模様が綺麗で、とっても美味しそうなんですよ。(笑) いやこれも去年の新羅展で似たような縞瑪瑙のアクセサリーがあって、その時もやっぱり美味しそうだと思ったのですが、どうもこれ条件反射になってしまいそうです…ははは。

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