黄金時代の記憶

 2009/10/24(Sat)
ローマ帝国の遺産

 10/24(土)、国立西洋美術館の「古代ローマの遺産 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ」展へ行ってきました。
 折しも上野は絶好調大人気の東博「皇室の名宝展」や、この日から始まった東京都美術館の「冷泉家展」も加わり、狙い通り観客もやや分散傾向となったようです。おかげで朝一番の西洋美術館は比較的空いていて、静かな落ち着いた環境で各作品を見ることができました。

 さて肝心の展示はやはり何といってもずらりと並んだ彫像が素晴らしく、元々が「稀なる美男」と絶賛されたアウグストゥスの威厳ある姿はもちろん、皇帝一家の愛らしい子どもたちの姿も微笑ましく魅力的でした。中でも、一際美しいと思ったのは上の写真の看板やチラシにも大きく取り上げられた「豹を抱くディオニュソス」です。酒の神様にしては実に若々しく端正な美少年の姿で表わされた彫刻で、惜しいことに膝から下は欠損しているようですが、これがギリシア・ローマ神話の美青年神代表ともいえるアポロン神よりもよほど美しいのですよ。(笑) どの角度から見ても文句なしに整った顔立ちの瑞々しさはちょっと少女めいた印象さえ受けるほどで、会場内を往復する中で何度もこの像の前に立ち止まってしみじみと見とれました。ちょっとその辺りの庭にでも置いておけそうな小ぶりの彫像ですが、あれだったらイングリッシュガーデンの一角にでも据えたら実に絵になりそうですね。

 また彫刻以外では、大丸東京のカルタゴ展でも登場したローマ金貨や華麗なアクセサリーもずらりと並び、やはりこういうコーナーは皆さん特に展示ケースに張り付くように眺めていました。(笑) かくいう私もその一人ですが、ローマのネックレスや指輪はカルタゴのエキゾチックなモチーフをふんだんに盛り込んだものとは随分異なり、デザインとしては比較的シンプルなのがまた洗練された印象で、ネックレスに使われた見事な濃緑色のエメラルドは実に美しかったです。他にも竿秤や金のランプ、贅沢な銀食器のセットに洒落たインテリアの数々など、2000年も昔のローマの人々の豊かな暮らしを伺わせる品が盛りだくさんで、後々まで帝国の黄金時代と言われたのもさもありなんと思わせられました。(そんな中、中身が入ったままのガラスの骨壷(!)があったのにはちょっと驚きましたが…)

 ところで今回、展示コースは普段と少々異なり、いつもなら途中で地下へ誘導されるのが今回はまずぐるりと1階の展示を回った後の最後が地下でした。はてさて何が来るのだろうと思いつつ階段を下りてみると、何とポンペイの遺跡からそっくり剥がしてきた巨大な壁画がどーんと展示されていたのにびっくり。通称「黄金の腕輪の家」にあったという居間と噴水の壁画をそっくり引っぺがしてしまったというのも驚きでしたが、巨大な居間のフレスコ画もさることながら、噴水のモザイクの美しいこと、二畳足らずくらいの小さな空間の壁にびっしりとガラスのモザイクと本物の貝殻を華麗に散りばめている様子は、何だかちょっと贅沢な一人用のお風呂のようにも見えます。(もっとも古代ローマ人にとってのお風呂は例の広い共同浴場ですから、そんな発想はなかったでしょうが) しかも1階に戻った最後のコーナーで紹介されていたCGがまた凄く、この「黄金の腕輪の家」が実際にどんな様子だったかを見事に再現してくれていて、実物を見た後で映像を見るとまた感激もひとしおでした。暖かい南イタリアならではでしょうか、海を望む斜面に庭や葡萄棚まであるオープンテラス風の居間と噴水つきの食堂は、小さいながらも貴族の別荘か何かのようで、映像で見ると本当に居心地よさそうな素敵な感じだったのです。今ポンペイの遺跡に行ってもあれらを剥がした後の壁しか残っていないなんてまったくもったいない話で(保存上やむをえない処置だったのでしょうが)、もし現在あんな感じのヴィラがあればちょっと泊まってみたいですよ!

 …しかしそれにしてもまあまあまあ、今回は会場のさりげない演出もちょっとお洒落に凝った雰囲気でしたが、そんなものなどなくともこれだけ大物を揃えた内容ならば下手な演出等なくても変わりないくらいに迫力の特別展でした。あいにくこの日はさらに根津・明治神宮・東博と過密スケジュールが控えていたので、重いカタログを購入するのは断念しましたが、カタログとセット販売していた「黄金の腕輪の家」を含むCGのDVDは大変心引かれたので、目下買おうかどうか悩み中です…

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