夢を入れる箱

 2009/06/13(Sat)
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  (2008年テーブルウェア展出品「紅白梅」)

 今日の「美の巨人たち」は、大好きな藤田喬平の「飾筥シリーズ」でした。
 藤田喬平の名を初めて知ったのは、惜しいことにご本人が既に亡くなった後で、確か新日曜美術館の「箱」をテーマにした回でした。作品そのものの美しさもさることながら、何を入れるのかと言われて「夢を入れます」と答えたという有名なエピソードにすっかり痺れてしまい(笑)、以来すっかり大ファンです。
 そもそもガラス作家自体あまり多くは知りませんが、それにしてもこれほど「夢のように綺麗」という言葉がぴったりの作家は絵画でも彫刻でもなかなか見かけません。もちろん飾筥だけではなく、いかにも現代風の作品やヴェネチアングラス風の作品も数多く手掛けていてそれはそれでまた素敵なのですが、この人の作品で一番魅力的なのはやっぱり飾筥だよねーと、番組を見て改めて思いました。
 琳派大好きだった藤田の飾筥は「ガラスの琳派」と呼ばれているそうですが、元々最初の「菖蒲」の着想も光琳の「燕子花図」から得ており、他の作品も琳派というかどこか王朝趣味の雅やかな気品高さを感じさせて、本当に何度見ても惚れ惚れします。とりわけ、好んでいくつも作った「紅白梅」などは、豪奢な金と黒に散る華麗な紅白の点がまさしく光琳の「紅白梅図」を思わせますよね。

 さてこの飾筥、一見した限りでは技巧的に何がどう難しいのかは素人には判りませんが、2007年日本橋高島屋開催の回顧展の図録には、最初の作品「菖蒲」ができるまで「数え切れないほどの試行錯誤を繰り返して完成した」とあります。かのエミール・ガレも、あの金箔を刷り込んだ美しいガラスを生み出すまでには随分苦労したとどこかで聞いた覚えがあり、こうした職人の手も借りて作品を作り出すような作家の常でもあるのかもしれませんが、藤田については特に「よくぞこんな素敵なものを作ってくれた、ありがとう!」と思わずにはいられません。叶うものなら小さい作品(香合なんかも作ってるんですよ)でいいからひとつ欲しいなーとさえ思うのですが、しかし何しろ人気もあり既に亡くなった方ですから、さぞかし高価なんでしょうねえ…(とほほ)
 そうそう、今回番組で一番驚いたのが、今もご家族の手元に残るという最晩年の飾筥「白凰」を開ける場面でした。箱を取る時の「音」がガコっというか、やけにリアルに大きく響いて、あーこれ本当にガラスなんだ、と判ってちょっと衝撃でしたね。展示されている作品を見るだけでは判りませんが、何しろガラスですから重さもきっとかなりのものでしょうし、触れたらどんな感じなんだろう、とふと思いました。

 ところで、藤田の美術館が今回番組の中でその様子が紹介されていましたが、敷地のたたずまいや館内の展示があんなに素敵なところだとは知りませんでした。松島はさすがに遠くてなかなか無理かな~と思っていましたが、あれを見てしまったらもう、ぜひぜひ一度行きたいです!

 参考リンク・藤田喬平ガラス美術館
 http://www.ichinobo.com/museum/


  飾筥
  (2007年「藤田喬平 雅の夢とヴェニスの華」展図録。表紙の作品は「湖上の花」)

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