思い出の美術展(3) 祝福された四季―近世日本絵画の諸相

 2008/02/18(Mon)
 さてさて、今回は千尋の「一番悔しい思い出の美術展」のお話です。(笑)

 1996年春、千葉市美術館開催のこの特別展を知ったのは、JRの駅構内で見かけたポスターがきっかけでした。確か綺麗な金屏風の花鳥画だったような記憶がおぼろげにあるきりですが、友人と二人でこれは見てみたいねと話し合い、はるばる出かけていったのです。その頃は柳橋水車図屏風くらいしか判りませんでしたが、武蔵野図屏風の草原に転がる(笑)大きな月に笑ったりしつつ、当時なりにとても満足した美術展でした。

 …ところが、何年か経って琳派にどっぷりはまった後、何かの美術展の図録でこの「祝福された四季」図録掲載の論文を引用した文章に出逢ったのです。それではてどんな内容だったっけ、と引っ張り出してきたのはいいのですが、改めてぱらぱらめくってみて愕然。何と、この美術展は内容の素晴らしさもさることながら、普段滅多にお目にかかれない海外所蔵の作品が大量に出ていたのですね。以下、ほんの一部ですがご紹介します。

 渡辺始興「四季草花図屏風」(アシュモリアン美術館)
 尾形光琳「菊図(団扇)」「雪芦図(団扇)」(ファインバーグコレクション)
 尾形乾山「定家詠十二ヶ月和歌花鳥図」(メトロポリタン美術館)
 伝尾形乾山「四季草花図屏風」(フィラデルフィア美術館)
 中村芳中「四季草花図屏風」(大英博物館)
       「四季扇面貼付屏風」(プライスコレクション)
 酒井抱一「朝陽四季花木図(三幅)」(ギッターコレクション)
       「三十六歌仙図貼付屏風」(プライスコレクション)
       「十二ヶ月花鳥図・柿に目白(綾瀬本)」(ファインバーグコレクション)
 鈴木其一「柳白鷺図屏風」「青桐・楓図」(プライスコレクション)
       「十二ヶ月花鳥図扇面」(ファインバーグコレクション)

 …とまあ、琳派のみに絞ってでもこの物凄さ、なのに例によって殆ど記憶に残っていない己の脳味噌をどれほど恨んだか判りません。(涙) 特にファインバーグとギッターはこれ以降の美術展でも殆ど出逢った覚えがありませんから、琳派ファンにはとんでもなく貴重な機会だったはずなのです。そんな凄い美術展に行って見てきたのに、どうして憶えていないんだ私の馬鹿馬鹿馬鹿~~~!!!

 そんなわけで、途中展示替があったために実際は後期展示分しか見ていないのですが、それにしてもいまだに思い出すたび悔しくてたまらない美術展なのでした。まあ、プライスコレクションは一昨年大規模な里帰り展があったおかげでようやく雪辱を晴らせましたが、ファインバーグコレクションは今年の大琳派展でどれだけ出てくれるか非常に気になるところです。最近抱一の新しい「十二ヶ月花鳥図」のセットも見つかったそうですし、ぜひぜひ里帰りさせてください。

 ところで、この美術展で忘れられない作品のひとつが、円山応挙の「氷図屏風」でした。ごく低い二曲一隻の紙地に墨で氷のひび割れだけを鋭く描いていて、そのシンプルさが逆に強烈に印象に残っています。この屏風も大英博物館所蔵とあって滅多にお目にかかれませんが、2004年の応挙展で久しぶりに再会できてとても懐かしく感じました。
 なお余談ながら応挙では他に三井文庫の「雪松図」もありましたし、同じく国宝の久隅守景作「夕顔棚納涼図」も出張していました。さらにプライスコレクションの若冲やバークコレクションの英一蝶他も揃った錚々たる顔ぶれで、なのに巡回すらなかったのがまた余計に悔しいです。そういう巡り合わせだったと言ってしまえばそれまでですが、どうか生きているうちにもう一度、特に抱一に再会できますように。(苦笑)

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コメント
スミソニアンにプライスコレクションが来ているので、日本こいしやで、眺めに行ってます。三十六歌仙の歌が変体仮名で読めなくて悲しいため、ぼちぼち写しては、家に帰って、どの歌だか当てたり。なんにも知らずに、きれいな金屏風だなあと眺めてたときも楽しかったですが、いろいろ調べて、千尋さんのサイトなどに来れたり、こういうことも楽しいです。
【2008/04/07 11:56】 | こまり #- | [edit]












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