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「紫の上」はいつ生まれたか

 2009/04/25(Sat)
 今日源氏物語関連でちょっと調べ物をしていた際、ふと気になったことがありました。

「そういえば、紫の上はいつから「紫の上」と呼ばれるようになったんだろう?」

 多分研究者の方なら非常に今さらな疑問でしょうが、そういえば今まで特に気にとめたこともなかったなと思い当たり、「源氏物語の世界」様で調べてみました。そしてびっくり、何と彼女が最初に「紫の上」と呼ばれたのは、第25帖「蛍」が最初なのですね。えーそんなに後になってからなのー!?と驚愕、一体蛍のどこが初見なのかと調べてみてさらに驚いたのですが、例の有名な物語論「日本紀などはただかたそばぞかし(歴史書なんて所詮物事の一部しか伝えていないのですよ)」という言葉のすぐ後だったのです。「源氏物語の世界」の原文は大島本に基づくそうですが、これが本当に紫式部の原文の姿をそのまま忠実に伝えているとしたら、何だかとても引っかかるのは私だけでしょうか…

 それはさておき、現代の私たち読者は研究者でもない限り、すべて原文を読みとおすような根性のある人はファンでもまあ滅多にいないでしょう。それだけに彼女を最初から「紫の上」と当たり前に思いこんで読んでいますが、意外やこの呼び名が登場するのは非常に少ないのです。改めて数え直してみたら、「蛍」(1)「藤袴」(1)「真木柱」(1)「若菜・上」(3)「若菜・下」(2)「鈴虫」(2)「夕霧」(1)「御法」(1)で、あの長大な源氏物語の第一部・第二部全部をさらっても合計たったの12回(!)しかありませんでした。…いやー、これは驚きましたわ(ちなみに第三部では名前のみ3回出ていましたが、光源氏も既にいない時代の話なのでこれは別とします)。

 で、そこで当然連想されるのが、例の紫式部日記に登場する有名な話、藤原公任が「このあたりに若紫やさぶらふ(このあたりに若紫の君はいらっしゃいませんか)」と問いかけたあれです(笑)。その時紫式部は「源氏に似るべき人も見えたまはぬに、かの上はまいていかでものしたまはむ(光源氏のような素晴らしい殿方もいないのに、どうして紫の上がいるものですか)」と思ったとあり、これを元にこの時点で既に「若紫」は世間に出回っていたという根拠とされているということで、去年の源氏物語千年紀もこの記述に基づいているのは言うまでもないですね。
 ともあれ、今回引っかかったのは、ここで作者が紫の上を「かの上」と呼んでいるということでした。
 ちなみに紫の上が最初に「上(「奥様」とか「正妻」といった意味と考えていいでしょう)」と呼ばれたのは何故か「蓬生」で、もしかすると作者は既にここまで書き進めていたか、そうでなくとも紫の上が「上」と呼ばれる人になることは設定済だったということになりますよね。上記「源氏物語の世界」で改めて見直したら、結婚前の紫の上が「紫の君」と呼ばれた箇所はあったものの、結婚後もしばらくは「姫君」「女君」という呼び方が殆どで、おまけに「蓬生」の後もしばらく飛んで次に「上」と呼ばれるのは「薄雲」なのです。源氏の初恋の女性であった藤壺が亡くなるのと前後して「上」と呼ばれ始めたというのも何やら意味深ですが、この辺もっと突っ込んで考察した論文があればぜひ読んでみたいなと思いました。

 ところでちょうど今、タイミングよくというべきかその紫の上に関する研究をまとめた絶好の参考書を図書館から借りているところです。この中では「紫の上は光源氏の正妻か否か?」や、そのものずばり「紫の上という呼称」について取り上げた有力な論文が紹介されていて、もしかするとその中でこういう点について触れているかなと期待をかけているのでした。というわけで、お休み終わったらまた調べに行ってきます♪

  
人物で読む源氏物語 (第6巻) 紫の上人物で読む源氏物語 (第6巻) 紫の上
(2005/05)
西沢 正史

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 では最後に、今回のおまけ。

  六条院へ

 風俗博物館2008年後期展示「少女」より、新築成った六条院へ移る光源氏と紫の上。
源氏は既に太政大臣まで登りつめ、我が世の栄華を謳歌する二人の華やかな時代を象徴する一コマです。

 源氏~直衣出衣姿。直衣:二藍唐花鳳凰丸文、衵二領:白地小葵文・濃紅紗地雲立涌文、
    指貫:葡萄色地白藤折枝文、単:紅地繁菱文、有文冠
 紫の上~小袿姿。単・五つ衣:紅梅の匂い(赤のグラデーション)、
     袿:萌黄白亀甲地文に又木文「青丹かさね」(表:青、裏:青)
     小袿:白亀甲地又木文「白菊かさね」(表:白、裏:蘇芳)
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