100歳の夢

 2009/04/17(Fri)
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 今月5日、千鳥ヶ淵のお花見のついでにちょっと足を延ばして、始まったばかりの「山口伊太郎遺作「源氏物語 錦織絵巻」展」へ行ってきました。前回も同じ大倉集古館で拝見しましたが、しばらく間をおいたため記憶も大分曖昧で、おかげで今回久々に間近で見てまた感動を新たにしてきました。織物ならではの装束のリアルな表現ももちろん素晴らしかったですが、詞書まで全部織物にしてしまおうという職人根性にはまったく恐れ入ります…

 そして今回、改めて生前の年表を見てびっくり仰天したのですが、何とこの方私が生まれるより前からこの源氏物語絵巻にずっと取り組んできたのですね。70歳になってこんな遠大な目標を掲げるだけでも凄いのに、さらにそれから30年以上、文字通り死ぬまでかけて没頭したその情熱とバイタリティにもほとほと頭が下がります。しかも一時は実物大で作りたい(!)なんて言い出したこともあったそうで、これはさすがに周りが無茶だと止めさせたらしいですが(笑)、いくつになっても常に向上心を忘れない方だったのだなあと、何だか羨ましいような気さえしてしまいました。

 ところで、今回は展示されていなかった「御法」巻の源氏と紫の上の場面ですが、写真を見ておやっと思ったことがありました。
 以前「源氏物語の1000年 あこがれの王朝ロマン」でちらりと触れたように、例の復元模写での紫の上は純白の衣裳を纏っていてあれれと思ったのですが、伊太郎さんは(紫の上という名前からの連想でしょうか)ここで艶やかな紫の小袿?を着せているのです。そこで改めて解説や図録を読んでみたところ、ご本人は決して絵巻の忠実な復元を目指したわけではなく、こういう風に表現したいという自分なりの美意識や主義に基づいて作成したとのことで、なるほどとそれで納得しました。また逆に「竹河一」のように現存の絵巻では白梅にしか見えない絵を、ここは絶対紅梅がいいといってそのように作ったら、後の科学調査でも紅梅だったと判ったという話もあったりして、知らずに選んだ色が古代の製作者の意図通りだったのだからこれも凄いですね。

 ともあれこの織物の絵巻、特に目を惹かれたのは全体の立体感で、人物の纏う衣裳の文様はもちろんのこと、「竹河二」で画面中央に描かれた満開の薄紅色の桜の花びらがひとつひとつ刺繍のように表現されているのがそれは綺麗でした。これは写真だけでは絶対に判らない美しさなので、展示替以降にぜひもう一度行ってじっくり堪能してこようと思います。

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