思い出の美術展(4) 遣唐使と唐の美術

 2009/02/01(Sun)
 今日久しぶりに昔のNHKスペシャル「文明の道」のDVDを見ていたら、ふと思い出した美術展がありました。恥ずかしながら、千尋が今まででたった一度だけ、会場で泣いてしまった美術展です。通常絵や彫刻を見て感動することは多かれど、「感動のあまり泣く」ということは殆どないのですが、あの時はそれとはまったく違った意味で強く心を揺さぶられた、忘れられない思い出の美術展でした。
 というわけで、本日のお題は「遣唐使と唐の美術」(2005年、東京国立博物館)です。

 そもそもこの美術展の少し前、ネットニュースか何かで「中国で見つかった発掘品に『日本』と刻まれていた」という記事を見かけたのが最初でした。日本という国号がいつから使われていたか、という問題は私自身興味があったので(ちなみに最近では、天武天皇の頃からという説が有力なようです)読んでみたら、問題の発掘品は日本人留学生の墓誌で、彼・井真成のプロフィールとして書かれた文章の中に「日本」という言葉が出てきていた、とのこと。日本に戻れなかった留学生というと阿倍仲麻呂と彼の和歌「三笠の山にいでし月かも」が有名ですが、まさに仲麻呂と同時に唐に渡った無名の一留学生の墓誌であったということで、当時は随分話題になっていましたね。
 そしてしばらく後、今度は何とその墓誌が東博で特別公開されるという知らせが舞い込んできました。もちろんすぐさま駆けつけたことは言うまでもありませんが、いざ現物を目の前にし、「形既埋於異土、魂庶帰於故郷(亡骸は異国に埋葬されたが、魂は故郷へ帰らんことを)」という一文を見たら、もう泣けて泣けてどうしようもなかったのです。というか、この時の特別展のポスターがまた大変に泣かせる代物でして、綺麗な淡い青の空と海(多分日本海のイメージ?)を基調にしたごくシンプルな絵柄にただ一言「おかえり。」……だから私こういうのに弱いんですよう~~!(涙)

 ともあれ、このお話は後に同年放送のNHKスペシャル「新シルクロード」でも取り上げられていて、今でもとても心に残っている美術展のひとつです。通常見に行く特別展は絵画中心なのですが、このような考古学方面ならではのロマンや人間ドラマを感じさせるものもいいなと、改めて思いました。

 参考リンク:Wikipedia「井真成」(墓碑墓誌原文・抄訳あり)

スポンサーサイト
タグ :
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://ctobisima.blog101.fc2.com/tb.php/140-553be748
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫