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若冲と抱一

 2008/11/30(Sun)
 私と伊藤若冲との最初の出会いは多分、酒井抱一と同じく1995年東博の「特別展・花」だったようです。図録を見ると「動植綵絵」十幅がばっちり載っているので確かだと思うのですが、何しろこの時私が目を引かれたのは(以前にも触れたとおり)「夏秋草図屏風」を始めとして比較的地味めな作品ばかりだったので、残念ながら全然憶えていないのでした。(^^;)
 とはいえ、その後ぼちぼちと美術展での出会いを重ねるうちにいつとはなしに名前を認識するようになっていったようで、特に1999年やはり東博で開催された「皇室の名宝」展で大々的に作品を見た時はさすがに衝撃でした。ただ(これも前回触れましたが)私はああいう色数多くしかも極彩色で余白の少ない賑やかな絵はどうも少々苦手でして、失礼ながらあんまり好みじゃないなあと思ったのです。もっとも後にTVでプライスさんが江戸時代のように暗い中で和蝋燭の明かりで見るという方法を取っていたのを見た時には「そうか、ああいう風に見るならまた違うのかもしれないな」とも思ったのですが、その後若冲人気が大ブレイクしてからもそれほど彼に興味は持ちませんでした。

 ところがまたしばらく後に、何と我が愛しの(笑)抱一さんがどうも若冲にもかなり関心を持っていたらしい、と知ってちょっと驚きました。これについては例の「酒井抱一と江戸琳派の美学 日本の美術 (No.463)」でも「雄藩大名の次男坊で江戸随一の粋人抱一と青物問屋の長男で京都でも稀な野暮天若冲という全く対照的なタイプの二人の取り合わせは、思いがけないものであったが…(後略)」などと書かれていますが(笑)、事実静嘉堂文庫所蔵の「絵手鑑」に若冲に学んだと思しき作品が多数確認されています。(ちなみにそのうちの一点が、「もっと知りたい酒井抱一」の裏表紙でも使われた蛙の絵です) とはいえアレンジの得意な?抱一さんのやることですから、ただ模写するのではなく自己流に色々と手を加えているあたり、玉蟲敏子氏も述べているとおり双方の美意識の違いがよく判るのですね。
 ただ、私が気になったのはそれとはまた別の点でして、これまた以前「新春抱一めぐり」でちらっと取り上げた「吹きつけ」という技法も抱一は若冲の影響を受けているのではないかしらんということです。もしかすると既にどなたか指摘しているかもしれませんが、抱一が波しぶきや雪の描写によく使う真っ白な胡粉の吹きつけは宗達や光琳ではあまり見た覚えはないし、強いて挙げるなら乾山が露に、また円山応挙が波しぶきに使っている絵は知っているのですが、雪の描写に使った人となると、私の知る限りでは若冲しか思い当たらないのですね。しかもその若冲の絵たるや、お好きな方ならご存知でしょうがどばっと盛大に、しかも裏面にまで思いきり使っているのですから、そこまで派手でないにせよ抱一がお手本にしたとしてもおかしくはないかなあ、と思うのでした。(ただし「絵手鑑」の元になった「玄圃瑶華」はモノクロ版画だそうなので、抱一がそれ以外の若冲作フルカラー肉筆画を知ってなきゃ無理ですが)

 ところで、この週末図録の整理をしていたところ、細見美術館の「若冲と琳派」展(2003‐2004年)の図録が出てきました。この中で京博の狩野博幸氏が「琳派と若冲」という論文を載せているのですが、改めて読み直してみたらどうも自分が若冲の来歴をちょっと誤解していたらしいことが発覚、ちょっと慌ててしまったのです。いや、よく「錦小路の青物問屋」なんていうから今でいう八百屋さんのようなイメージかと思っていたのですが(そして同じ誤解をする人が結構多いらしい)、「問屋」というからには小売商ではなく、「大企業とまではいわなくとも、中企業のオーナー会社の若社長」くらいに匹敵するのだそうですね。えー何だ、じゃあこの人も結局いいとこのお坊ちゃんではないですか!(笑)と思ったら、その後がまた愉快だったので、ちょっと引用させていただきましょう。

「若冲画の凄みは、生活苦と縁のない男がただ一つの趣味を生涯かけて続けていったところにある。(中略)絵を売って生活しないでもよいということは、自分が描きたいものを描きたいように描く、というのと同義であり、世の流行に棹さすのではなく、題材として採りたいものを採るという態度である。」

 ……ここまで来て、何かまるで誰かのようだなあ、と思ったのですが、狩野さんはさらに続けてこんな文でしめくくってくれたのでした。

「これまで、いやいまでも、こんな画家がいた試しがあるだろうか。
 抱一が、それに近い。」

 それがオチですか!と吹き出したのと、あーやっぱり、と思ったのが半々でしたが、なるほどそれで「若冲と琳派」なのねとようやく合点しました。もっともこの時のキャッチコピー「いとおしいほど繊細で、哀しくなるほど美しい。」は絶対若冲というより抱一だろう!と密かに思っているのですが、ともあれ細見はしばらくご無沙汰しているので、今年の琳派展をやっているうちにぜひまた行きたいです。(^^)

 なお最後にもうひとつ、先日大琳派展を見ていてふと思ったのですが、鈴木其一の作風って大雑把に言うなら光琳と若冲を足して二で割ったようだと思うのは私だけでしょうか。(笑) 師匠の抱一はむしろ光琳と応挙を足して二で割ったような感じだけに不思議というか面白いですが、となるとやっぱり今後は其一がブレイクするのかも…?

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【2008/12/08 17:55】
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