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大琳派展 継承と変奏(5) 十二ヶ月変奏曲

 2008/11/12(Wed)
 大盛況の大琳派展もあと僅か、この週末はもう一度行ってこようと思っています。そこで最後の観覧前に、ファインバーグ・コレクションより里帰り中の酒井抱一作「十二ヶ月花鳥図」について、簡単におさらいを。

 抱一の代表作のひとつでもある「十二ヶ月花鳥図」のシリーズは「もっと知りたい酒井抱一」でも触れられているように、大きく分けて二種類のグループがあります。それぞれ一月の画題にちなんで呼ばれていますが、簡単にリストにしてみましょう。

 1.「白梅・紅梅・鶯グループ」~宮内庁本、畠山記念館本
   1月:梅椿に鶯
   2月:菜花に雲雀
   3月:桜に雉子/瑠璃鳥
   4月:牡丹に蝶/芍薬に燕
   5月:燕子花に鷭
   6月:立葵紫陽花に蜻蛉/百合葵に雀
   7月:玉蜀黍朝顔に青蛙/木槿に頬白
   8月:秋草に螽斯/芙蓉に鶉
   9月:菊に小禽
   10月柿に小禽/山茶花に橿鳥(カケス)
   11月:芦に白鷺/鴛鴦
   12月:桧に啄木鳥/竹寒菊に鶺鴒

 2.「朝日・白椿グループ」~プライス本、出光本
   1月:白椿に鶯/梅椿に鶯
   2月:白梅に雀/菜花に雲雀
   3月:桜に燕/瑠璃鳥
   4月:薔薇に蜜蜂/牡丹に蝶
   5月:燕子花に鷭
   6月:紫陽花に蜻蛉
   7月:向日葵に蟷螂
   8月:秋草に馬追
   9月:白菊に瑠璃鶲
   10月:柿に烏/柿に目白
   11月:芦に白鷺
   12月:竹に鴛鴦/紅梅に鴛鴦

 こうして並べてみると、それぞれのグループの中でもまた微妙に違いがあったり、逆に別なグループと共通するものもあったりと、とても多様です。
 さて、ここで今回のファインバーグ本のリストを書き出してみましょう。

 「ファインバーグ本」
   1月:朝日・椿に鶯
   2月:菜の花に雲雀
   3月:枝垂桜に瑠璃鳥
   4月:薔薇に黒揚羽
   5月:紫陽花・立葵に蜻蛉
   6月:糸瓜に蛍
   7月:朝顔・藤袴に蛙
   8月:芙蓉・桔梗に鶉
   9月:黄蜀葵に四十雀
   10月:栴檀にカケス
   11月:川柳・黄菊に鴨
   12月:寒梅・藪柑子に雀

 一見して判るとおり、ファインバーグ本は2の「朝日・白椿グループ」ですが、他ではあまり見られない6月の糸瓜に蛍と、10月の栴檀にカケスが特に印象的でした。植物と小動物を組み合わせるというパターンはすべての絵に共通していますが、一瞬どこにいるんだろうと思ってしまうような控え目な5月の蜻蛉や7月の蛙も可愛らしく、また全体に保存状態も大変良好で本当に綺麗でした。
 ただ一方でちょっと引っかかったのが3月の枝垂れ桜で、画面を大きく横切る桜の幹は抱一にしてはちょっと珍しい構図のような気がしますが、そういえば後に神坂雪佳がまさしくあんな感じの絵を描いていたことがあるのですよね。また6月の糸瓜は抱一よりも其一が好んで描いている印象がありますが、繊細な蔓の描写は抱一ならではのセンスを感じさせますし、7月の朝顔と藤袴というモチーフも「夏秋草図」を連想させるなど、いかにも抱一らしい気品をたたえた美しい絵だったと思います。

 ともあれ、こうして掛け軸という細長い形で見ると、抱一の作品は光琳などに比べて一見写実的なようでいて、余白や構成を非常に緻密に計算して描いているなと感じます。これが其一になるともっと先鋭的な印象が強いですが、抱一の絵は草花に寄り添う小鳥や虫たちの存在の可愛らしさがどこか微笑ましく、取り澄ましたような繊細な美しさだけではない優しいあたたかみがあるようにも思えますね。
 なお、10月の連続講座のお話によれば、鳥はともかく「草花と虫」という取り合わせは抱一以前の琳派にはなかったモチーフで、南蘋派の影響も考えられるだろうとのことでした。こんな絵を見ていると、住まいとした雨華庵や馴染みの百花園で四季折々の動植物を見つめていただろう抱一の姿が何となく想像できて、ちょっと親しみを感じてしまいます。(^^)

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