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人間のトモダチ

 2010/08/21(Sat)
 目下ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』上映中ですが、「人間に見られてはいけない小人の話」というと、私が真っ先に思い出すのは佐藤さとる氏のコロボックル物語です。実家にも単行本が何冊かあるのですが、先日書店で久しぶりに見かけて、懐かしさについまた買ってしまいました。
(※以下、アリエッティ原作とコロボックル物語のネタばれ話につき、未読の方はご注意ください)


だれも知らない小さな国―コロボックル物語 1  (講談社青い鳥文庫 18-1)だれも知らない小さな国
コロボックル物語 1
(講談社青い鳥文庫)

(1980/11/10)
佐藤 さとる

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 アリエッティの原作『床下の小人たち』も最近図書館で見つけて読んでみましたが、同じように人間との関わりを禁忌としながらも、コロボックルたちの生活とは随分違うなというのが第一印象でした。
 昔「こぼし(小法師)さま」と呼ばれていたコロボックルは、人里から少し離れた小山で、何百人もが一つの国のようにまとまって暮らしています。また人間の所から必要なものを失敬するのもごく控えめで(まったくないとはいいませんが「借りぐらし」というほどでもありません。笑)、基本的には小山で自活して大勢が仲良く平和に暮らしていました。(この点『床下の小人たち』は、コロボックルよりも古い話の割に家族や人間関係等が妙に現代的にぎすぎすした一面があって、あんまり子ども向けではない気もします)
 ともあれ、コロボックルはかつては人間たちともそれなりに友好的に共存していたものの、やがて小人を狙い始めた人間に嫌気がさして、姿を見せなくなってしまいます。けれども床下の小人たちと大きく異なるのは、コロボックルがそうやって隠れ住む一方で、このままではいけない、誰か一人でいいから小人の味方になってくれる人間を見つけようと、長い間探し続けていたことでした。


 こぼしさまは、ただ心配しているばかりでは、どうにもならないと思った。そこで、自分たちの力で、こぼしさまの味方になってくれる人を、さがしだそうとした。おおぜいの中には、きっと、そういう人もいるにちがいないと思ったのだ。たったひとりでもいい。その人が、たとえどんなに力のない人でも、こぼしさまの考えていることを、ほかの人間につたえてくれるだけでもいいと思った。

(『だれも知らない小さな国』より)




 そうしてついに、彼らは一人の少年――後に「せいたかさん」と呼ぶ若者と出逢って互いに深い友情を育んでいくことになるのですが、このくだりは今改めて読み返すと特に心打たれて泣けてきます。後に小人たちの住みかである小山が道路工事で潰されそうになる際には、せいたかさんと小人たちがそれぞれの力で協力し合って見事に危機を乗り越え、「床下の小人たち」のあの悲劇的ともいえる結末とは正反対の大団円を迎えますが、むしろ小人たちが少しずつせいたかさんに心を開いていく過程の方に、子どもの頃とはまた違ったしみじみとした感動を覚えました。

 ところで小人の味方となったせいたかさんもまた、一方で小人たちに支えられて、小人たちと共に生きていきます。
 せいたかさんは昭和始め頃の生まれらしく、その青春時代はまさに太平洋戦争の真っ只中でした。子ども向けの話ゆえそのあたりはごくさらりと描かれていますが、父親は南方で戦死、友人たちも空襲で何人も亡くなるなど、随分過酷な経験もしています。そしてようやく戦争が終わった時にふと、子どもの頃に一度だけ小人たちと出逢った小山を思い出したのが、本当の意味での彼と小人たちとの交流の始まりでした。
 せいたかさんは天涯孤独の身の上ではないものの、作中で母親や兄弟などはまったく出てこないので、やっと成人するかしないかの彼はまさしく「何も力のないたった一人」だったはずです。それでも小人たちは彼こそ味方にふさわしいと信じて白羽の矢を立て、せいたかさんもまたそれに応えて、一切の秘密を持つことなく彼らに心を明け渡した(一方でもちろん、他の人間には小人のことは絶対に秘密)ことを苦にするどころか、むしろ豊かな気持ちになったとさえ語っていました。小人たちはせいたかさんを「味方」と言いましたが、彼らの絆はむしろ友情、それも普通の人間同士よりも深いと言えるようなもので、このシリーズのファンは皆誰もが一度は自分も小人の友達になりたいと願ったというのも、きっとそんなところへの憧れにあるのでしょう。

 ところでこの物語はその後も少しずつ書き継がれ、全5巻で完結しています。続編ではせいたかさん以外にも小人たちの「トモダチ」となる人物が何人か登場しており、もちろんせいたかさんのその後も知ることができるので、途中までしか読んでいない方はぜひ続きも読んでみてください。


豆つぶほどの小さないぬ―コロボックル物語 2  (講談社青い鳥文庫 18-2)豆つぶほどの小さないぬ
コロボックル物語 2
(講談社青い鳥文庫)

(1980/11/10)
佐藤 さとる

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星からおちた小さな人―コロボックル物語 3 (講談社青い鳥文庫 18-3)星からおちた小さな人
コロボックル物語 3
(講談社青い鳥文庫)

(1980/12/10)
佐藤 さとる

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ふしぎな目をした男の子―コロボックル物語 4 (講談社青い鳥文庫 18-4)ふしぎな目をした男の子
コロボックル物語 4
(講談社青い鳥文庫)

(1980/05/10)
佐藤 さとる

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小さな国のつづきの話―コロボックル物語 5 (講談社 青い鳥文庫)小さな国のつづきの話
コロボックル物語 5
(講談社 青い鳥文庫)

(1991/06/15)
佐藤 さとる

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