「源氏物語」の色辞典

 2008/12/20(Sat)
 今日たまたま出かけた途中の本屋で、素晴らしい本に遭遇しました。

  
源氏物語の色辞典源氏物語の色辞典
(2008/11/01)
吉岡 幸雄

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 内容は簡単に言って、源氏物語に出てくる装束を実際に再現した写真集とでもいうべきものですが、しかしレベルの高さが半端ではありません。有名な場面をいくつかとりあげただけのものは今までもありましたが、この本では何と源氏物語五四帖のほぼすべてから、中にははっきりと何色か本文に書かれていない装束まで、すべて当時のまま植物染のみで(つまり化学染料は一切なし)再現しているのです。さすがにすべての衣装を直衣や狩衣、十二単などの形に仕立て上げたわけではなく、反物を広げたり重ねたりしてイメージを出すような形を取っていますが、それでも実際の色がこんなものだったと判るだけでも目から鱗が落ちますし、何よりひとつひとつの布地の染の美しいことと言ったら、源氏を知らない人でも充分見応えのある写真集としてお勧めできます。もちろん、「花宴」で光源氏が纏った桜重の直衣や、「絵合」で帝の禁色の袍を挟んだ梅壺・弘徽殿双方の華やかな衣裳の対峙、さらに「玉鬘」の衣配りや「若菜・下」の女楽の場面など、よく知られたシーンの数々も余さず入っており、源氏の華麗な世界を一層リアルに想像できて惚れ惚れしました。お値段3,465円と少々お高いですが、絶対に損はさせない1冊ですので、コアな源氏ファンの方はぜひとも書店で探してみてください。(一度見たら絶対欲しくなること請け合いです! 笑)

 ところで著者の吉岡幸雄氏は、今までもこうした日本古来の染物について特別展示などを手がけており、つい先日も日本橋高島屋で今回の発行記念特別展を開催していたそうです。迂闊にも見逃してしまっていたのが悔しい限りですが、数年前に同じような特別展を開催した時の様子が以下のサイトで紹介されていますので、こちらも合わせてどうぞ。

「紫のゆかり」吉岡幸雄の色彩界
 http://www.sachio-yoshioka.com/2002jp/index.html

 いやしかし、先週の特別展は何故か完全に見落としていて、返す返すも心残りです。(というか期間短すぎますって!涙) 本のカラーはデジタル手法で印刷したとのことで、やはりどうしても実物とは微妙に色合い等違うところもあるでしょうから、今度また機会があればぜひとも本物を見たいですね。


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2009年の予定

 2008/12/20(Sat)
 2008年も残すところあとわずかとなってきましたが、今年は暮れになってまで色々と暗いニュースが多いですね。戦争や天災以外でこんな苦しい時代が日本にもやってきたかと思うと心が痛みますが、ともかく何とか皆無事に年を(というよりこの冬を)越せるよう願うばかりです。

 さて、美術展の方もちらほら来年の情報が入ってきていますが、今のところ目星をつけている来年の特別展をちょっとご紹介。


 ・松岡映丘とその一門
 (2009.1.6-3.1/山種美術館
 ・美人画展 ―麗しの女性美を求めて―
 (2009.1.6-4.19/松岡美術館
 ・近代の屏風絵 煌めきの空間
 (2009.1.10-3.15/泉屋博古館
 ・藤田喬平展 ガラスの光彩-伝統と創造-
 (2009.1.17-2.22/千葉県立美術館
 ・加山又造展
 (2009.1.21-3.2/国立新美術館
 ・生活と芸術 アーツ&クラフツ展 ウイリアム・モリスから民芸まで
 (2009.1.24-4.5/東京都美術館
 ・所蔵名品展 国宝紅白梅図屏風
 (2009.1.30-3.23/MOA美術館
  佐竹本三十六歌仙切「平兼盛」
 ・ポワレとフォルチュニィ展(ドレスコード割引あり/対象:ポケットチーフ)
 (2009.1.31-3.31/東京都庭園美術館
 ・国宝 三井寺展
 (2009.2.7-2009.3.15/サントリー美術館
 ・ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画
 (2009.2.28-6.14/国立西洋美術館
  フェルメール「レースを編む女」来日
 ・桜さくらサクラ・2009 ~さようなら、千鳥ヶ淵~
 (2009.3.7-5.17/山種美術館
 ・ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち
 (2009.3.25-6.1/国立新美術館
 ・一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子
 (2009.3.28-2009.5.17/サントリー美術館
 ・日仏交流150周年「STORY OF …」カルティエ クリエイション~めぐり逢う美の記憶
 (2009.3.28-5.31/東京国立博物館
 ・興福寺創建1300年記念 国宝阿修羅展
 (2009.3.31-6.7/東京国立博物館
  阿修羅像他「八部衆立像」(国宝)寺外一挙初公開!
 ・忘れえぬロシア 国立トレチャコフ美術館展
 (2009.4.4-6.7/Bunkamuraザ・ミュージアム
  クラムスコイ「忘れえぬ女(ひと)」
 ・手塚治虫展
 (2009.4.18-6.21/江戸東京博物館
 ・「だまし絵」展 -イリュージョンを楽しむ- (仮称)
 (2009.6.13-8.16/Bunkamuraザ・ミュージアム
 ・道教の美術
 (2009.7.11-9.6/三井記念美術館
 ・第62回式年遷宮記念 「伊勢神宮と神々の美術」(仮称)
 (2009.7.14-9.6/東京国立博物館
 ・シアトル美術館名品展(仮称)
 (2009.7.25-2009.9.6/サントリー美術館
 ・和紙と暮らす―装飾と造形(仮称)
 (2009.9.19-2009.11.3/サントリー美術館
 ・特別展 ルネ・ラリック回顧展(仮称)
 (2009.9.15-11.23/MOA美術館
 ・新美術館開館記念 速水御舟展 ~日本画への挑戦~
 (2009.10.1-11.29/山種美術館
  速水御舟「炎舞」ほか
 ・清方/Kiyokata ノスタルジア(仮称)
 (2009.11.18-2010.1.11/サントリー美術館
 ・東山魁夷と日展の作家たち
 (2009.12.5-2010.1.31/山種美術館
 ・ZESHIN・江戸最後の名匠 -欧米人が愛した柴田是真の漆工と絵画-
 (2009.12.5-2010.2.7/三井記念美術館


 以上、年明けにはまた新しい情報も続々入ってくると思いますが、個人的に特に楽しみなのがサントリー美術館です。いつもは毎回足を運ぶというほどではないのですが、来年は何だか個人的に興味のあるものがとても多く、とりわけ薩摩切子で特別展(!)というのが非常に楽しみなのでした。昔々「暮らしの手帖」で特集記事を読んで以来長年とても憧れてきたのですが、所蔵品にも優品の多いサントリー開催の特別展ともなればさぞかし期待できるのではないかと思います。それに鏑木清方も個展としては今まで見たことがないので、この機会に今まで知らなかった作品にもお目にかかれるでしょうね。(そしてお願いですから、永青文庫の「抱一上人」もぜひ出してください! 笑)

 そういえばその酒井抱一の命日(旧暦11月29日)は今年は12月26日にあたるようで、さすがに当日は仕事納めで無理ですが、暮れに余裕があれば築地本願寺へまたお墓参りに行くかもしれません。しかし抱一さん、思えば随分寒い季節に亡くなったのですね。

P.S
 そうそう、来年は予定通りにいけば、根津美術館がリニューアルして帰ってくるのですよね! そして復帰第一段には当然光琳の燕子花図にもまた会えるでしょうし、引っ越し後の新山種美術館と合わせて楽しみです(^^)


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再び夏秋草図

 2008/12/09(Tue)
 前回の香味焙煎の件、その後たまたま電話で実家の母に話しましたところ、「そういえば、芸能花舞台でも「夏秋草図」使ってるわよ」と言われました。えー!?と再びびっくり仰天、早速週末にTVで見ましたところ、確かにタイトル映像はまぎれもない酒井抱一の夏秋草図屏風で、しかも川の流れだけとか葉っぱの一部だけとかケチな使い方ではなく(笑)、どーんと丸々夏秋草図のみの画面だったのです。近頃芸能花舞台はご無沙汰していてノーチェックだったので、まさかああいうところで使われているとは意外でしたが感激でした(^^)

 ところで、先日「若冲と抱一」で触れた吹き付けの話ですが、あの後たまたま「若冲と江戸絵画展」の図録をめくっていたら、まさしく雪の描写に使われた美人画の浮世絵があってこれまたびっくりしました。確かに浮世絵は守備範囲外なので、その絵も多分見たはずなのですが全然記憶になかったわーと大いに反省しつつ、もしかして他の肉筆浮世絵にもこういう例って多いのかなと気になったので、今後の調査課題にしようと思います。抱一さんもそもそも浮世絵からスタートした人ですし、彼の絵の中には本当に多様な流派の色々な要素が取り込まれているのですね。

 さて、今月は熱海のMOAでも琳派展を開催中ですが、何たることか肝心の紅白梅図屏風は出ないらしいので、多分今回は行きません。(あそこの所蔵琳派は何度も見てるし、この前会ったばかりのものも多そうなので。笑) おかげで今年の美術展予定は残すところサントリーの蒔絵展だけになってしまいましたが、来年は加山又造展や阿修羅展など楽しみな情報が目白押しなので、今のうちにゆっくり休憩して英気を養っておきましょう。
 そうそう、この前ワイエス展に行って知りましたが、来年Bunkamura開催のトレチャコフ展でクラムスコイの「忘れえぬ女」が来るそうですね! これまでにも2回美術展で見ていますが、あの絵は何度でも見たい大好きな作品の一つなので今から楽しみです(^^)

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抱一に、うるさい(笑)

 2008/12/01(Mon)
 昨日たまたま出先で、ふとネスカフェ・香味焙煎のポスターを見て仰天、思わず携帯に撮ってしまいました。ここで載せてしまっていいものか悩んだのですが、とにかく見ていただいた方が早いので↓ご紹介をば。


  ネスカフェ焙煎

  関連リンク:香味焙煎公式サイト

 この屏風の絵柄、上下・左右逆転の構図になってますが、どう見ても酒井抱一の「夏秋草図屏風」が元になってますよね?

  
もっと知りたい酒井抱一もっと知りたい
酒井抱一

(2008/09)
玉蟲 敏子

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 人気の若冲などはCMでもよく見ますが、あれほどアクの強くない抱一さんはまず出番ないだろうなあと思っていただけに、最初はびっくりしたものの何だか嬉しかったです。特にあの水の流れは、私が最初にあの屏風を見て一目惚れした部分だけに思い入れも格別なので、あそこをクローズアップされたというのがまたちょっと感激でした。(もっとも考えてみると、先日の大琳派展のチラシや田中一光のポスターに至るまで、あの部分は結構出番多いのですよね)
 なおこのポスターでは室内に屏風が置かれていますけれど、上記焙煎公式サイトでも見られるCM映像の中の、どこかの石庭に置かれたものもいい雰囲気出てます。(^^)

 しかしこうして見ると、「江戸琳派」とは言いながら抱一さん、結構京都にも似合いますよね?

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