再び佐竹本

 2008/10/31(Fri)
 先週土曜日、三井記念美術館にて展示替で登場の佐竹本「藤原敏行」を見てきました。添書きの和歌は古典の授業でもお馴染みの「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる」で、歌の通りにふと振り返った一瞬を描いた姿がちょっと珍しくて面白かったです。歌仙絵はむしろ歌の内容に添った絵柄であることは少ないようですが、あんな歌仙絵もあるのですね。
 とはいえ、数の少ないお姫様やお坊様はともかく、大半の歌仙絵は皆似たような束帯姿の殿方ばかりでして、一度見たはずのものもどれが誰なのかあまりちゃんと記憶していないというのが正直なところです。(苦笑) 一度湯木美術館で見た業平はさすが美しい色男でしたが(笑)、他に一目で判るって言うと人麻呂くらいですねー。
 ちなみにお姫様は今まで三人(斎宮女御、小町、小大君)にお目にかかれましたが、伊勢&中務の母娘歌仙はどちらも個人蔵ということもあり、今後もなかなか見られそうにありません。さすがに36人全員勢揃いというのは無理としても、せめてお姫様5人が揃ったところを一度くらいは見てみたいと思うのですが、無理でしょうかねえ…?

参考リンク:佐竹本三十六歌仙(全部の画像を見ることができます)

追記:
 うっかりチェック漏れしてましたが、現在泉屋博古館分館(東京)で開催中の「日本の書跡」(10/18-12/7)でも、佐竹本「源信明」と上畳本「藤原兼輔」が展示中です。石山切や熊野懐紙等も揃うなかなかの内容らしいので、お好きな方はお忘れなく。

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幻の秘宝 佐竹本三十六歌仙絵巻

 2008/10/18(Sat)
 前回ちょっと触れました佐竹本三十六歌仙ですが、実は千尋の追っかけ対象のひとつでもあります。昔NHKの番組で「絵巻切断」を見たのが心の底にひっそりと残っていて、その歌仙切のひとつに5年前偶然東博で遭遇したのをきっかけに、ぼちぼちと出逢いが増えていきました。特に凄かったのは2006年の出光美術館「歌仙の饗宴」で、あの時は合計9点勢揃いというのに仰天したのもさることながら、(先日も会ってきた)憧れの斎宮女御を初めて見られてもう大感激でした。
 というわけで、現在までに制覇(笑)した歌仙絵は住吉明神も含めて17点、やっと半分近くまでさしかかった所です。しかし何しろ個人秘蔵が多いので、2006年現在で全部国内にあると聞いてはいますが、果たして一生かかっても全部の歌仙に会えるかどうか…ある意味フェルメールより大変かも(笑)

 ともあれ、覚え書きも兼ねて現在並びに今後出品予定の歌仙のリストを挙げておきます。

・秋の優品展(2008.8.29-10.19/五島美術館
 「清原元輔」(展示期間:9.23-10.19)
・茶人のまなざし 森川如春庵の世界(2008.10.4-11.30/三井記念美術館
 「藤原敏行」(展示期間:10.15-10.26)
・開館25周年記念 館蔵名品展(2008.8.29-10.19/野村美術館
 「紀友則」(展示期間:10.28-11.16)

 この中で見たことのあるものは清原元輔だけで、藤原敏行は比較的近いからいいものの、紀友則は厳しいかもしれません; 野村美術館は滅多にあれ出してくれないし、ちょうど最後の頃が細見の琳派展に引っかかっているだけに余計行きたいのですが、ただでさえ紅葉渋滞おびただしい(笑)京都まで行けるかどうか…うう、ちょっと辛いかも…

 参考書籍:三十六歌仙絵巻の流転―幻の秘宝と財界の巨人たち (日経ビジネス人文庫)
  上記「絵巻切断」が本になり、その後文庫化にあたって加筆したもの。
  所蔵者のリストも載っていますが、その後さらに変わってます(^^;)

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茶人のまなざし「森川如春庵の世界」 斎宮女御と紫式部

 2008/10/14(Tue)
 報告が遅れましたが、10月4日と13日の二回、三井記念美術館にて「茶人のまなざし 森川如春庵の世界」を見てきました。…とは言っても、ああいうお茶の世界のよさは正直さっぱり判らない(ごめんなさい;)千尋のお目当ては唯一つ、最初の10日間限定で特別出品の佐竹本三十六歌仙「斎宮女御」です。以前出光で一挙9点公開した時にも飛んでいきましたが、当分見られないだろうなあと思っていたところへ今回のニュースだったので、再び喜び勇んで駆けつけました。折りしもただ今「大琳派展」にも光琳や其一の「三十六歌仙図」が出ていますが、あちらはまさに問題の斎宮女御だけが几帳の後ろにお姿を隠してしまって見られないので、ある意味ちょうどよかったです。(笑)

 で、この絵を見るたびいつも気になるのが、斎宮女御の衣裳です。
 佐竹本の中でも他の4点のお姫様たちはいずれも比較的赤が目立つ衣裳なのですが(特に小町は美しかった)、この斎宮女御のみが何故か、かなり剥落してはいるものの鮮やかな緑の衣裳を纏っているのです。平安時代は高貴な人ほど服装が略式になるので、正装姿の4人と違って斎宮女御だけはどうやら裳も唐衣もつけない袿姿で幾分くつろいでいるところらしいのですが、そもそもあれは一体どういうポーズでああいう姿勢になっているのでしょう? 私も簡単な十二単を着たことはありますが、この絵は見れば見るほど謎です…うーん。
 なお余談ですが、通常歌仙絵で描かれる斎宮女御はむしろ、几帳の影に殆ど姿を隠して顔だけを覗かせている方が主流です。(斎宮歴史博物館所蔵・住吉具慶「三十六歌仙図画帖」など) ただ以前プライスコレクション展で来日した酒井抱一の「三十六歌仙図色紙貼交屏風」は明らかに佐竹本と同じ形式で描かれているので、もしかしたら抱一も当時佐竹家にあった絵巻を見ていたかもしれませんね。

 そしてもうひとつ、今回調査不足で不意をつかれてびっくりしたのが、斎宮女御の隣に展示されていた「紫式部日記絵詞断簡」(森川家本第五段)でした。しかもあまり見ない絵柄で、はてどういう内容かと思ったら、最近横浜の源氏物語展でも展示していた旧森川本のすぐ続きにあたる部分なのだそうです。宴会騒ぎが終わって隠れていた(笑)紫式部と同僚を道長がからかいに来た場面で、紫式部と道長が贈答した和歌も書かれているのですが、あいにく何書いてるのかさっぱり読めません; 後で自宅の講談社学術文庫を再確認、あーそうかこんな内容だったっけとやっと思い出したので、暇があればまた行ってみたいなと思っています。

 さてその紫式部日記、絵に登場する二人の女房のどちらが紫式部本人なのかは解説にも図録にも書いていなかったのですが、この二人の衣裳は色合いがまったく違うのですよね。上のややこちらを向いた女房は緑系、下の後姿の女房は赤系の衣裳で、これで本文に二人の衣裳の説明があれば話は簡単なのですが、あいにくこの場面に限ってどちらの衣裳の説明もないのです。(他では晴れの場面で結構細かく衣裳の説明があるのに) 多分大型の美術本あたりを探せば解説くらいあるのでしょうが、ちょうど今近くの図書館が閉館中で調べられないのでした。…残念。
 ともあれ、そういえばちょうど今五島美術館でも所蔵の紫式部日記絵巻を展示中で、こちらは前にも見ていますがしばらくご無沙汰しています。源氏物語絵巻の実物も凄かったし、その復元もこれまた溜息の出るような美麗さで惚れ惚れさせられましたが、紫式部日記絵巻の復元もできれば見てみたいですねー。(NHKさん、源氏に続いてどうでしょう?)

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大琳派展 継承と変奏(2) 講演会覚書

 2008/10/13(Mon)
 何だかんだありまして、結局この三連休は大琳派展の講演会へ行ってきました。また2日目は初のオフ会参加で大変どきどきしましたが、普段殆どできない琳派や美術展の話を心行くまですることができて、大変楽しかったです。主催のはろるどさん&Takさん、本当にありがとうございました。

 さて、講演会の方は四人の講師の方々が、それぞれ光琳・宗達・工芸・抱一をそれぞれテーマに取り上げてお話してくれました。千尋のお目当てがトリの抱一だったことは言うまでもなく、そんなわけで本日は特に聞く気満々でしたが、いやあもう本当に面白かったです。内容自体も初めて知ることがたくさんあって大変勉強になりましたが、何よりお話ぶりが四方の中でも一番「愛」に溢れていたのですよ。(笑) 何しろ出だしがいきなり「学生時代に東博で夏秋草図に一目惚れして、生涯を共にする決心をした」という告白から始まり、その後も抱一の一生を辿りながら数多い画像と共にとても丹念に説明してくださったので、もうすっかりファンになってしまいました。残念ながら玉蟲さんのような著作は特にないそうですが、機会があればぜひもっとお話を聞きたいですね。
 ともあれ、せっかくですので私も忘れないうちに、大まかな内容をここでご紹介したいと思います。(以下、レジュメの目次に従っております)


【酒井抱一と江戸文化】講師:岡野智子氏(細見美術館学芸員)

1.風流公子酒井抱一
 始めに述べられたのが、琳派画家の中でも抱一は時代も遅くその身分柄もあって、残っている情報が宗達・光琳よりはるかに多いということです。その分研究も大変だそうで、確かに俳諧方面はあまり進んでいないと玉蟲氏も触れていましたが、これはこれで贅沢な悩みですね。

 2.酒井家の教養
 酒井家一族は元々風流大名として有名だという話はよく聞きますし、最近の「もっと知りたい」でも兄忠以の絵などが紹介されていましたが、今回初めて忠以・抱一兄弟のお父さん(忠仰)の絵を見ました。画題は大琳派展でもおなじみ「佐野の渡り」なのですが、お父さん作の絵にお母さん(里姫)が賛を入れ、さらに表具は何とお祖父さん(15代忠恭公)、そして箱書きがお兄さん(忠以)というから凄い(笑) まさに一族合作で、なるほど、抱一はよく身分の割に奔放だと言われるけれど、少なくとも絵に関しては彼一人が突然変異(笑)ではないのだなと、改めて感心しました。(ちなみに母方の叔父さん(松平乗完)も、なかなか達者な花鳥画を描く人だったそうです)

 3.浮世絵を描く御曹司
 青年時代の抱一は浮世絵から絵の世界に入り、今回出品の「松風村雨図」は初期の作品として知られていますが、あの時点(25歳ごろ)で既にかなり絵を描いていたようです。画風が歌川豊春風だということもあり、ボストン所蔵の「花魁図」は始め豊春作だと思われてしまったそうですが、その書き込みをしたのが何と河鍋暁斎だというから大笑い。暁斎は知る人ぞ知る其一の娘婿ですが、その彼も若い頃の抱一があんな絵を描いていたとは知らなかったのですね(笑)
 ともあれ、抱一がそうした自由な青年期を過ごせたのは、多分に仲のいいお兄さんの庇護あってのことだろうということでした。しかも「松風村雨図」の箱に入っていた袋の紋は、兄忠以が気に入りのコレクションにのみ使っていたものだそうで、随分弟を可愛がっていたのでしょうね。(と希望。笑)

 4.江戸の光琳ブーム
 抱一が光琳に傾倒したきっかけとして、酒井家所蔵のコレクションがたくさん?あったろうとはよく言われていますが、実はそれについての確証はあまりないのだそうです。(意外) ただ光琳・乾山の江戸下向から、立林何帛の江戸移住あたりまでと、俵屋宗理・中村芳中以降からははっきりと違いが出てきているとのことで、例えば宗理の絵は余白を大きく取った繊細な淡彩画が見られるなど、後の江戸琳派の芽生えに繋がるものが見られます。そして出てきた抱一が初の琳派研究者として、また琳派の継承者として大きな流れを作ることになったわけですね。
 なお抱一の初期琳派作「月に秋草図」(MOA)は、たらしこみにまだ慣れていない頃に一生懸命頑張って描いた感じがする(笑)とのことで、確かに言われて見れば何やらぎこちなさが目立ちます。その反面、「燕子花図屏風」(出光)で蜻蛉を書き添えていたり、「松藤図」(アジアソサエティ)で繊細な藤蔓を描いていたりなど、早くも後の抱一らしさ(叙情的・文学的)がこの頃既に現れていたんですね。

 5.吉原に遊ぶ画僧
 お兄さんが早世した後、酒井家で微妙な立場となった抱一は色々鬱屈することもあったようで、結局37歳で出家します。しかし武家から僧侶への転向はある意味しがらみから自由にもなったわけで、終生の住まいとなった雨華庵から毎日?吉原に通った(笑)ことでまた遊び人だ何だと言われますが、ただし住居はとても質素だったということでした。(没後当時の酒井家当主が弔問に行って、粗末さに驚いたとか) なお抱一のアトリエの名に取られた「雨華」は、彼がよく描いている芙蓉の花のことでもあるそうです。
 また今回の出品に含まれる仏画はやはり出家とも関連が深かったらしく、余談ですが特に「白蓮図」は人気の高い作品の一つということでした。確かにオフ会でも人気でしたし、私もあの絵は「夏秋草図」の次くらいに大好きです。(^^)

 6.一ツ橋徳川家と「夏秋草図屏風」
 実は昨日、たまたま調べ物をして偶然気付いたのですが、酒井家と一ツ橋家は上屋敷・中屋敷・下屋敷のいずれもお隣さんだったそうです。その点から言っても、両家の交流は他の大名家よりは親しかったということも考えられますし、となると出家したとはいえ抱一にとっても一ツ橋家はよく知った仲であってもおかしくないですね。

 7.豪商森川家と「蔓梅擬目白蒔絵軸盆」
 同じく今回出品の軸盆は、抱一下絵の蒔絵作品の基準作だそうです。しかも原羊遊斎は実に見事に抱一の下絵を蒔絵に仕上げていて、前日工芸編で解説された茶箱もですが、抱一の下絵以上に抱一らしい(笑)と絶賛されていました。…まあ絵画と漆芸ではまったく違うジャンルなので無理もないですが、何だかファンとしては微妙に複雑なような…(^^;)
 またこのお盆はよく知られるように特定の絵巻を乗せるための特注品ですが、実際にこれを使用する時の絵柄の見え方を配慮した点など、光琳の香包みにも通じるものがあるそうです。確かにあの香包みは掛け軸になってしまっていて判りにくいですが、本来の使い方をして見たなら随分また印象も違ってくるのでしょうね。(←というか、こういうものこそぜひグッズにしてほしいのですが。笑)

 8.江戸文化が育んだ抱一
 抱一を取り囲む江戸文化は、吉原の文化圏と大名家・豪商家の文化圏という、ある意味両極端な世界でした。特に大名や豪商は京都の雅の文化に憧れつつ、一方で江戸の洒脱な洗練をも愛し、それに応えたのが光琳流や大和絵を取り込み独自に開花させた抱一だったということでしたが、それを思うと抱一という人は、実にさまざまな流れが合流した中からある意味出るべくして出る人だったのかしら、という気もします。彼も含め、琳派というのは本当に一筋縄では行かない、だからこそつくづく面白いと改めて感じました。


 以上、ざっと駆け足ですが、本日の講演の覚書でした。なお岡野氏は最後の討論会でも司会さんに「昔から抱一の追っかけで、抱一命なんですよね(笑)」と言われておいでで、本当に熱の篭った、それだけに抱一好きにはたまらなくて面白いお話だったと思います。今後始まる細見の恒例琳派展のお知らせもありましたし、今年は久しぶりにぜひ行きますね!
 ところで、これは全然抱一とは関係ないのですが、今回の大琳派展に来る途中でのエピソードがまた傑作でした。上野駅から博物館までの途中に並ぶ看板の風神雷神を見て、小さな男の子が「あ、なまはげだ!」と言ったんだそうです。これには場内爆笑、多分3日間通して一番大笑いになったお話でした。(きっと講演全部忘れても、あれだけは皆さん忘れないでしょう。笑)

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リピーター御用達・友の会

 2008/10/10(Fri)
 以前触れましたとおり、今回大琳派展を見るために(笑)東京国立博物館友の会に申込をしてきました。今まではずっとパスポートを買っていたのですが、大琳派展は4回でも5回でも行ってやるぞー!という意気込みで燃えているので、それなら友の会の方が絶対いいよねと決断したのです。しかし何ぶん初めての申込で、何だかちょっとどきどきしました。

 というわけで、東博のサイトにも案内がありますが、ここで改めて簡単なご紹介を。

 【東京国立博物館友の会】
  年会費:10,000円
  有効期限:発行日から1年
  特典:平常展フリーパス
     特別展チケット12枚
     グッズ割引(5%、図録・書籍は除く)
     レストラン割引(10%)ほか

  http://www.tnm.go.jp/jp/guide/tomonokai/index.html

  tomonokai.jpg
  (申込でもらったチケット他一式)


 さて、友の会の最大の強みは何と言っても、特別展のチケットが12枚も!もらえるという点です。普通のパスポートは各特別展1回限りですし、ペアチケットを買っても1枚1000円ですが、友の会の場合1枚約800円というお値段は、例えば根津美術館に燕子花図屏風を見に行くよりお安いのだから嬉しいですね。(笑) しかも同じ特別展に何度も使えるので、家族や友人同士、カップルなどでよく行く方は特にお勧めです。(全部使い切るのが無理でも、当日券価格なら7回で充分元は取れます)
 なお私が今回踏み切った理由のもう一つが、来年春予定の阿修羅展なのですが、同じ時期にカルティエ展も開催と判ってますます万歳、これも行く気満々です。しかしこの調子で行くと、もしかすると一年かからずに使い切ってしまうかも…?(笑)

 なお、特別展は当日に限り再入場もできるので、一度昼食やお茶で一服の後また改めて、というのも一つの方法です。平成館の中では鶴屋吉信のお菓子くらいしか食べられませんし、また特にお昼から午後にかけては会場は混雑しますから、疲れた場合は無理せずいったん会場を出てゆっくり休憩した方がいいかもしれませんね。(特に今回、抱一・其一エリアはソファも少なくて辛かったです;)
 ちなみに友の会かパスポートを持っていれば、一度博物館を出てからでもまた戻ることができますが、友の会は東博内のレストランも割引ありなのでこれまた重宝です。博物館の近辺はあまり飲食店もありませんし、芸大や東京都美術館へ行った後でもう一度、というのでなければ館内で一日ゆっくり過ごすのもいいですね。(でも欲を言えば、もう一つくらい洒落た喫茶店が欲しいなあ)

 というわけで、色々と大変お得な友の会なのですが、図録が割引対象外なのは非常に残念でした。サントリー美術館はもっとお安いレギュラー会員にも図録割引してくれるのに…けち。(笑)

 そうそう、書き忘れてましたが現在、常設展で丸山応挙のわんころ襖絵を展示中です。あのキュートな子犬ちゃんたちは確か江戸博の応挙展にも出てくれなかったので、今回初めて見て大感激でした。うーん、やっぱり可愛い~~vv

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選外の方々

 2008/10/09(Thu)
 今回の大琳派展にあたって、久しぶりに過去の琳派関連の美術展カタログを色々ひっくり返していたのですが、特に印象深かったのが2004年のRIMPA展(国立近代美術館)との違いでした。あちらはかなり思い切って、明治以降の下村観山、菱田春草、小林古径、横山大観等はともかくクリムト、ルドン、ウォーホルという意外な路線まで手広く取り込んでいましたが、今回はいかにも東博らしいというべきか(笑)どーんと手堅くオーソドックスな6人に絞り込んできましたよね。まあ海外の画家は私も今ひとつぴんと来なかったので、それならどこかで誰かが触れていた田中一光を入れて欲しかったなーと感じました。(というわけで、今回BRUTUSの特集で取り上げられていてちょっと嬉しかったり。^^)

 そしてもう一人、観山や春草も確かにちらほらと琳派の影響を受けてはいますが、もっとそのものずばりで琳派チック?な神坂雪佳が今回抜けていたのは、正直ちょっと残念でした。そもそも雪佳は、最初に見た琳派展「日本の美「琳派」展一九九六」で例の金魚と衝撃の出会い(笑)を果たして以来、琳派関連ではよく目にしている画家の一人ですし、ほのぼの琳派な中村芳中とはまた違う微笑ましさの漂うあの雰囲気は結構好きなのです。最近では2003年の回顧展以降、あまりまとまった数の作品を見る機会に恵まれていませんが、あの愉快な金魚にはまた会いに行きたいですね。(^^)
 ところで2003年の回顧展はちょっと思い出深いものでして、あの時は色々都合がつかなくてやっと最終日に飛んでいったら、図録が既に売り切れだったのです。(涙) うわーんそんなー、こんなにたくさん雪佳の作品をまとまって載せた本なんてないのにー!と大ショックだったのですが、何とその翌年の他でもないRIMPA展で、近代美術館のミュージアムショップに委託販売分が残っているのを発見、喜び勇んで購入したのでした。ありがとう近代美術館!

 ともあれ、その後2006年の高島屋と去年の細見美術館はあいにく行きそびれてしまったので、次に会えるのはいつかなーと期待中です。しかしそれにしても抱一にしろ其一にしろ、単独であの回顧展くらいのレベルの特別展をやってくれると嬉しいんですけどねえ…

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大琳派展 継承と変奏(1)

 2008/10/07(Tue)
 今日は朝一番で、本日より始まりました大琳派展に行ってきました。いやー、私も平成館は開館当初からの付き合いですが、あの会場丸ごと全部が琳派尽くしというのはさすがに圧巻です。一度入ってしまうともう見るのに夢中で、おかげで一通り見終わった時にはすっかりくたくたでした…ははは。
 ともあれ、全体の紹介等は多分他のブロガーの皆様がこれからしてくださると思いますので、千尋は例によって欲望に忠実に(笑)酒井抱一にターゲットを絞った感想にしたいと思います。また今日の分一回きりではとても済みそうにないので、まずは今回初観覧分を中心に。

・「遊女立姿図」(ファインバーグ・コレクション)
 画集等で存在自体はお馴染みでしたが、今回初めて出会った作品。実を言えば浮世絵はあまり興味のない分野なのですけれど、肉筆画はものによるようで、この絵も素直に綺麗だなと思いました。(しかし『新潮日本美術文庫』では某会社所蔵になってるんですが、一体いつ海外流出したんですかこれ…)

・「月に秋草図屏風」(山種美術館)
 意外や意外、山種はこれまで随分通っているのに、何と今回初観覧です。抱一にしては非常にリアルなタッチの鶉がとても可愛らしく、金地にどーんと映える(笑)アーモンド形の黒い月も印象的。

・「雪月花図」(MOA美術館)
 MOAは光琳の紅白梅図目当てで何度か行ってるので、この絵は割合見る機会に恵まれています。琳派というより円山四条派風ですが、特に山桜の何ともいえない風情が素直に綺麗で、大好きな作品の一つです。

・「柿図屏風」(メトロポリタン美術館)
 これも初観覧の里帰り作品。予想通り、というか予想以上の渋さでした。(笑) モチーフや構図は抱一らしい一方で、画面全体に漂う荒涼とした侘しさがちょっと珍しい感じです。

・「青楓・朱楓図屏風」
 これも存在自体は大分前から知っていますが、見れば見るほど「…本当に抱一?」と疑心暗鬼になってしまう作品。個人的にはこれこそ其一作だという方が納得できるんですが…はてさて。

・「桜に瑠璃鳥図」「菊に小禽図」「柿に目白図」「芦に白鷺図」
 おなじみ亀田綾頼賛のシリーズ。単独でなら何度か見ている作品もありますが、5点中実に4点が揃ったところを見るのはさすがに初めてでした。(それだけにフリア本が欠けているのが悔しい;) 元々は後7点あるのでしょうが、今後何かの機会に見つかって欲しいですね。

・「白絖地梅樹下草模様」(国立歴史民俗博物館)
 これも意外に見る機会の少ない作品で、久しぶりの再会でした。しかも今回の展示では着物の前の方からも見ることが出来るので、また印象が違って見えて面白かったです。(ちなみに光琳の冬木小袖も同様でしたが、こちらは帯の跡の痛みがちょっと目立ってました。^^;)


 ところで一応図録も買って一通り目を通しましたが、案の定というかやっぱり抱一さん、「お殿様らしい我侭で其一や周囲の人々を振り回したに違いない」なんて書かれてました。どうも東博の皆様は抱一に何やら含むところがあるようですが(^^;)、その我侭?のおかげで光琳研究は今でも大いに恩恵に預かってるんですから、そこのところはもう少し素直に感謝してくださいよー。(いや確かに色々思い込み激しいところもあったようですけどね)
 またもうひとつ、「其一の止まる時間」と題する小論の最後に、かの「夏秋草図屏風」の製作を手がけたのは其一ではないかと匂わせるような一文がありましたが、これは非常に気になります。あれは何しろ光琳作「風神雷神図屏風」の裏絵として描かれたという代物で、ましてや抱一は光琳の熱烈な追っかけであの絵の模写までしてるんですから、そんな人生でも恐らく最大級の栄誉を(いかに有能な弟子だったとしても)当時30にもならない若い其一に譲ったとはちょっと信じられないのですよね。また私が抱一の絵で(とりわけ問題の夏秋草図で)目を惹かれる点の一つが金泥を使った細い線(水流や葉脈など)なんですが、あのしなやかな優美さは其一の直線的なシャープさとは随分違うと感じるのですけれど、どうなんでしょう?

 ともあれ、今月21日から出品予定の「十二ヶ月花鳥図」(ファインバーグ・コレクション)もその意味では何か其一っぽい作品がちらほら混じってるので(笑)、今後の研究と評価が気になるところです。今回宮内庁本等他の十二ヶ月花鳥図はあいにく出ませんが、もう一つくらいシリーズ全部揃ったものと並べてみたら、きっと面白かったでしょうね。(特に畠山記念館本はなかなか揃って見られないので、今後に期待)

 以上、抱一以外にもたくさんの素晴らしい作品を心行くまで堪能した後、本館常設展の琳派小特集も見てきました。しかし光琳や乾山、俵屋宗雪等はともかくとして、尾形宗謙の書と抱一の手紙があったのにはびっくり仰天、思わずガラスケースに張り付きそうになってしまいました。(笑) 特に宗謙の書の美しいことといったら、光悦にも引けを取らないような見事さでこれまた惚れ惚れです。(さすが光琳と乾山の父というべきか、血は争えないですねー) 平成館の特別展とはまた一味違う面白さなので、こちらもぜひお見逃しなく(^^)


  尾形宗謙

  (尾形宗謙作「和歌巻」部分。光悦流の素晴らしい達筆でした)


 そうそう、最後に久しぶりでミュージアムショップへ行ってびっくり仰天したのですが、何と光琳作冬木小袖のミニチュアがあるのですね! とても綺麗で可愛くて欲しい~!と思ったのですが、お値段実に5万円…そ、それはちょっと厳しい…;(5千円の仁清作茶壷でさえためらってるのに。涙)

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もうすぐ大琳派展です

 2008/10/03(Fri)
 お待ちかねの大琳派展、いよいよ来週からですね。今回はちょっと無理して休暇をもぎとったので、私としてはかなり珍しい初日観覧です。最初にフリーパスの申込をしなければならないので一番乗りは無理ですが、もう今からわくわくどきどきですね。

 さて、東博のHPにもようやく出品一覧が出ましたが、リストを見て改めて呆然。え、あれも来るの、これも出るの!?というくらいに有名作品が目白押し、しかも画集ではよく見る割になかなか実物にお目にかかる機会のないものも多くて、いや本当に楽しみです。さすがに展示替えも多いですが、今回はもうもうはりきって毎週通っちゃおうか(!)というくらいの勢いなので、必ず全点制覇するぞー!

 で、何と言っても一番の注目は例によって酒井抱一です。というわけで、千尋的今回の注目は以下の通り。

 ・「観音像」(京都・妙顕寺蔵)
  光琳百年忌の供養に描かれた作品。実物は初めてです。
 ・「禊図」(ボストン美術館)
  光琳作の伊勢物語絵の模写。これが里帰りするとは…!
 ・「新撰六歌仙・四季草花図屏風」(個人蔵)
  これは画集でもあまり見た覚えがないので、とても気になります。
 ・「夏秋草図屏風」「紅白梅図屏風」「波図屏風」
  多分10年ぶりの、大作銀屏風三点勢揃い。(ただし紅白梅図と波図は時期が合いません;)
 ・「月夜楓図」(静岡県立美術館)
  ネットではお馴染みだった作品。今回初観覧です(^^)
 ・「柿図屏風」(メトロポリタン美術館)
  これもネットでしか見られなかった作品。ちょっと渋め。
 ・「青楓・朱楓図屏風」(個人蔵)
  抱一にしてはかなり大胆で派手め。どちらかというと其一作のような気も…
 ・「十二ヶ月花鳥図」(ファインバーグ・コレクション)
  今回最大のサプライズ。多分日本初公開ですよね!?(大興奮)
 ・「原羊遊斎蒔絵下絵帖」(大和文華館、ボストン美術館)
  これもなかなか見られない貴重品。…やっぱり頁替もするんでしょうか。

 ついでながら、抱一以外で気になるのは↓こちらです。

 ・宗達「伊勢物語・芥川」(大和文華館)
  有名な割に意外と会えない作品。楽しみです!
 ・光琳「三十六歌仙図屏風」(メナード美術館)
  よく数えると35人しかいない絵。(笑)  抱一の模写はフリア所蔵で見られないんですよね…
 ・光琳「波図屏風」(メトロポリタン美術館)
  今回一番仰天した里帰り作品。うわー、ホントに抱一の波図と一緒に見られるんだー!!

 以上挙げた他にも、よく見るお馴染みの作品もたくさんで、これだけの数が一堂に会するというのはやはり圧巻ですね。想像しただけでもくらくらしそうで、来週が待ち遠しいです。(^^)

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