スポンサーサイト

 --/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
カテゴリ :スポンサー広告 トラックバック(-) コメント(-)
タグ :

乾山の美術と光琳

 2008/02/24(Sun)
というわけで、出光で逃した乾山展、一度は諦めかけたのですが結局熱海まで行ってきました。この時期は何と言っても尾形光琳の「紅白梅図屏風」が年に一度の展示期間でもありますし、これを逃すという手はありません。確かNHKスペシャルに合わせての特別公開以来でしたが、何度見てもやっぱり金箔にしか見えないんですよねえ、あれ…
また光琳作品ではもうひとつ、十二ヶ月歌意図屏風もありましたが、見慣れた酒井抱一の十二ヶ月花鳥図に比べて案外地味というか淡白な絵なのが意外でした。正直言って、何も言わずにあれを見せられたら絶対光琳だと判らないくらいで(^^;)、少なくともあの画題に関しては抱一の方が格段に華やかな印象ですね。抱一だけを見た時は円山四条派風の典雅な絵だと思っていたのですけれど、まさか抱一より光琳を地味だと感じるなんて驚きでした。(笑)

さて肝心の乾山展ですが、普段乾山作品はちらほら目にする機会も多いとはいえ、これだけまとまった内容で見られるチャンスはなかなかなかったなあ、と会場で改めて思いました。特に好きなのは反鉢で、桜や紅葉の柄も色鮮やかで華やかでしたが、とりわけ目を引かれたのは今回初めて見た龍田川紋と白彩流水紋です。流水紋は光琳風の波模様がとても優美で、また竜田川紋の二つのうち片方は鉢の底が川面の青に色付けされた珍しいもので、赤や黄の紅葉によく映って綺麗でした。
あと、今回もうひとつ目を引かれたのが、桔梗紋の大角皿です。青々と咲く桔梗の花だけを描いたもので、解説に「琳派風の作品」とあったのですが、考えてみると琳派の絵画で桔梗が主役のものってあまり覚えがないのですよね。もちろん秋草を描いた作品には必ず登場しますが、もし屏風等であんな風に描いたら、光琳の燕子花図や鈴木其一の朝顔図のような感じかな、とつい想像してしまいました。

そんなこんなで、内容はさすがに大変充実したもので大満足でしたが、ただ残念だったのが、無料配布の展示リストがなかったことです。大抵の美術館では図録以外に1枚ものの簡単な展示リストを用意してくれていますし、特に展示替のある美術展の場合は後でどれを見てどれを見なかったかが判らなくなるので、その意味でも非常に心残りでした。おまけに今回はお茶会の日に当たっていて、庭園も立ち入り禁止だったので(何度も行って見てはいますが)ちょっとがっくり…

P.S
忘れるところでしたがもうひとつ、今回は個人的重大発見がひとつありました。
例の抱一で気になっていた「吹き付け」、何とおなじみの乾山作「花籠図」でも使われていたのですね。過去に実物を見たかどうかはちょっと憶えていないし、画集などでもあまり大きな写真で見たことがなくて気がつかなかったので、ちょっと驚きでした。(ただし乾山の場合は「露」を表現するのに使っていたので、抱一の雪や波しぶきがどこから来たかはやっぱり不明です)

スポンサーサイト
タグ :

すみだ文化講座と資料展・報告編

 2008/02/23(Sat)
というわけで、何とか会期ぎりぎりに行ってきました。図書館の一角を利用してのこぢんまりとした展示でしたが、普段なかなか見られないような資料が揃っていて面白かったです。中でも酒井抱一から亀田鵬斎に宛てた書状は、鵬斎の撰を抱一が書くにあたって「一字間違ってましたよ」と伝えた内容だったそうで、よりによって何故そんなものが!?と思わず吹き出してしまいました。…何と言うか、本当に親しい仲だったんですね、この二人。(笑)

さて、お目当ての抱一作「亀図」は、予想していたよりも大きな掛け軸でした。絵柄は三匹の亀を描いたごくシンプルなものながら、甲羅の淡いたらし込みや水の流れらしき薄墨の線が確かに抱一らしさを感じさせるタッチだったと思います。なお鈴木其一作「墨堤の春」は、多分比較的若い頃の作品でしょうか、後年の彼のシャープな印象がまだあまりない絵でしたが、淡い色彩の春の風景の初々しさがむしろ抱一よりも目を惹かれるいい感じの作品でした。

というわけで、さすがに資料そのものを直接撮影するわけにはいかなかったので、代わりに展示の様子を撮らせてもらってきました。時間さえあれば翌日の講演会も聴きに行きたかったのですが…残念。


sumida.jpg


タグ :

今週の美の壺・和のステンドグラス

 2008/02/22(Fri)
ティファニー等の洋物のステンドグラスは色々見てきましたが、「和の」ステンドグラスというのは少なくとも今まで意識して見たことがなかったので、大変新鮮で面白かったです。技術の素晴らしさもさることながら、余白を大きく生かしたシンプルな構図がアールデコ風でとても美しく、実物を見てみたくなりましたね。

…と思っていたら、その二日後にたまたま出かけた熱海の起雲閣という元旅館で、まさにそのステンドグラスに遭遇して驚きました。(つまりこの日記は、実は24日に書いています) 昔は根津嘉一郎の別荘でもあったという建物ながら、「あの」根津美術館のコレクションからはちょっと想像できないような(笑)ハイカラで洒落た洋館で、その意味でもびっくりでしたね。


「サンルーム(?)の天井」
kiunkaku1.jpg


「ローマ風浴室(!)」
kiunkaku2.jpg

タグ :

すみだ文化講座と資料展

 2008/02/20(Wed)
秋の大琳派展情報について調べていたら、墨田区立緑図書館にて「すみだ文化講座と資料展」なる展示を開催中であるという情報に遭遇しました。例の向島百花園を開いた佐原菊塢とその周囲の文人たちについて、酒井抱一を始め鈴木其一や亀田鵬斎その他二十点余の書画を展示しているそうです。ああもう、先週それ知っていたら見に行ってたのにー!
まあ幸い、この特別展示は今月24日まで開催中だそうで、土曜日の熱海旅行の途中に寄ってこようと思います。しかし両国駅の近くだなんて、本当にこの前目と鼻の先を通ったばかりだってのに…お馬鹿。(苦笑)

「すみだ文化講座と資料展」案内ページ(墨田区立緑図書館)
http://www.city.sumida.lg.jp/sisetu_info/library/info/sumidabunkakouza/

で、それじゃあ展示を見に行く前にちょっと予習をしておこうと思いまして、図書館から「亀田鵬斎と江戸化政期の文人達」(渥美國泰、芸術新聞社)を借りてきました。抱一は鵬斎の友人知人の中でも真っ先に紹介されていまして、「後年には同じ下谷金杉に閑居、雨華庵を構えて、なにくれとなく鵬斎の面倒を見、鵬斎の歿したその翌年に、これまた付合いよく没することになるこの人は、まこと鵬斎の生涯の友であったといっても過言ではないだろう」だそうです。(笑) 谷文晁も含めたこの下谷三人組を「三幅対」と呼んでいるのも実にぴったりで、今まで知らなかった抱一の逸話も盛りだくさんでとても面白くお勧めの一冊でした。

タグ :

思い出の美術展(3) 祝福された四季―近世日本絵画の諸相

 2008/02/18(Mon)
 さてさて、今回は千尋の「一番悔しい思い出の美術展」のお話です。(笑)

 1996年春、千葉市美術館開催のこの特別展を知ったのは、JRの駅構内で見かけたポスターがきっかけでした。確か綺麗な金屏風の花鳥画だったような記憶がおぼろげにあるきりですが、友人と二人でこれは見てみたいねと話し合い、はるばる出かけていったのです。その頃は柳橋水車図屏風くらいしか判りませんでしたが、武蔵野図屏風の草原に転がる(笑)大きな月に笑ったりしつつ、当時なりにとても満足した美術展でした。

 …ところが、何年か経って琳派にどっぷりはまった後、何かの美術展の図録でこの「祝福された四季」図録掲載の論文を引用した文章に出逢ったのです。それではてどんな内容だったっけ、と引っ張り出してきたのはいいのですが、改めてぱらぱらめくってみて愕然。何と、この美術展は内容の素晴らしさもさることながら、普段滅多にお目にかかれない海外所蔵の作品が大量に出ていたのですね。以下、ほんの一部ですがご紹介します。

 渡辺始興「四季草花図屏風」(アシュモリアン美術館)
 尾形光琳「菊図(団扇)」「雪芦図(団扇)」(ファインバーグコレクション)
 尾形乾山「定家詠十二ヶ月和歌花鳥図」(メトロポリタン美術館)
 伝尾形乾山「四季草花図屏風」(フィラデルフィア美術館)
 中村芳中「四季草花図屏風」(大英博物館)
       「四季扇面貼付屏風」(プライスコレクション)
 酒井抱一「朝陽四季花木図(三幅)」(ギッターコレクション)
       「三十六歌仙図貼付屏風」(プライスコレクション)
       「十二ヶ月花鳥図・柿に目白(綾瀬本)」(ファインバーグコレクション)
 鈴木其一「柳白鷺図屏風」「青桐・楓図」(プライスコレクション)
       「十二ヶ月花鳥図扇面」(ファインバーグコレクション)

 …とまあ、琳派のみに絞ってでもこの物凄さ、なのに例によって殆ど記憶に残っていない己の脳味噌をどれほど恨んだか判りません。(涙) 特にファインバーグとギッターはこれ以降の美術展でも殆ど出逢った覚えがありませんから、琳派ファンにはとんでもなく貴重な機会だったはずなのです。そんな凄い美術展に行って見てきたのに、どうして憶えていないんだ私の馬鹿馬鹿馬鹿~~~!!!

 そんなわけで、途中展示替があったために実際は後期展示分しか見ていないのですが、それにしてもいまだに思い出すたび悔しくてたまらない美術展なのでした。まあ、プライスコレクションは一昨年大規模な里帰り展があったおかげでようやく雪辱を晴らせましたが、ファインバーグコレクションは今年の大琳派展でどれだけ出てくれるか非常に気になるところです。最近抱一の新しい「十二ヶ月花鳥図」のセットも見つかったそうですし、ぜひぜひ里帰りさせてください。

 ところで、この美術展で忘れられない作品のひとつが、円山応挙の「氷図屏風」でした。ごく低い二曲一隻の紙地に墨で氷のひび割れだけを鋭く描いていて、そのシンプルさが逆に強烈に印象に残っています。この屏風も大英博物館所蔵とあって滅多にお目にかかれませんが、2004年の応挙展で久しぶりに再会できてとても懐かしく感じました。
 なお余談ながら応挙では他に三井文庫の「雪松図」もありましたし、同じく国宝の久隅守景作「夕顔棚納涼図」も出張していました。さらにプライスコレクションの若冲やバークコレクションの英一蝶他も揃った錚々たる顔ぶれで、なのに巡回すらなかったのがまた余計に悔しいです。そういう巡り合わせだったと言ってしまえばそれまでですが、どうか生きているうちにもう一度、特に抱一に再会できますように。(苦笑)

タグ :

新春抱一巡り

 2008/02/16(Sat)
新春というには立春も大分過ぎてしまいましたが、本日は畠山美術館・泉屋博古館・そして向島百花園と、酒井抱一関連三本立てで行ってきました。割合小規模なところなのでつい欲張った結果ですが、さすがに一日飛び回って結構疲れました。はー、やれやれ。

まず畠山では、前期の梅・椿に代わって今度は三月の桜に瑠璃鳥です。今にも折れそうに細い桜の枝は抱一お得意の「く」の字型を描いていて、小さな身体を捻って上を見上げる小鳥がまた何とも愛らしいのですよね。抱一の描く鳥はどれも、黒々とつぶらな瞳が本当に可愛くて大好きで、さらに今回は掛け軸の前に椅子が準備されていたのでありがたく真正面に陣取ってゆっくりたっぷり堪能させていただきました。うふふ。
そして今回は何と、どこかの番組と思しき撮影の現場にも行き合わせまして、内心ちょっとどきどきでした。(笑) まさか翌日放送予定のアートシーンではないと思うのですが、あれで抱一も映してくれていたら絶対録画しようと思ったのに…残念。

続く泉屋は、実は数日前になって抱一も出ていることを知り、もうじき会期も終わりとあって慌てて飛んでいきました。(苦笑) ここの「蓬莱山・雪松・竹梅図」は画集などでもあまり憶えのない絵で、加えて松の描き方が何だか見慣れない感じでしたが、積もった雪から松葉の先が覗いている描写が珍しくて面白かったです。そして真ん中の絵の夫婦鶴(?)も、やっぱり抱一の鳥って目が可愛いんですよねえ。

そして最後、向島百花園は今日初めて行きましたが、何と言うか、予想していたよりもこぢんまりと可愛らしい感じの庭園だなという印象でした。さすがに梅もまだあまり咲いていなくて見頃には少々早かったものの、これで春になって一斉に花が咲くとまた随分印象は違っていそうなので、暖かくなったらぜひまた行ってみたいですね。

「百花園の白梅」
向島百花園


追記:
泉屋の掛け軸を見て改めて思ったのですが、酒井抱一の絵って結構「吹き付け」(でよかったんでしたっけ)が目につくのですよね。私などは「スパッタリング」という横文字の方が馴染みですが、琳派でも俵屋宗達や尾形光琳、それに円山応挙などもあまり使っていない効果のような気がするなあ、と時々気になるのです。(逆に伊藤若冲なんかはたっぷり使ってるようですが)
ともあれ、抱一やその弟子の鈴木其一の作例では雪の積もった風景や波しぶきなどの描写でよく見かけますし、昨日の掛け軸も雪松と蓬莱山の二幅にかなりしっかりとこの効果が使われていたのが目を引きました。今まで気になりつつあまり深く追求したことがなかったので、秋の大琳派展ではもっと気をつけてじっくり観察してこようと思います。

タグ :

思い出の美術展(2) 日本の美「琳派」展一九九六

 2008/02/14(Thu)
 今回もまたかなり古い話ですが、これは私が初めて見に行った「琳派の美術展」でした。当時はその価値もよく判らないまま、何となく面白そうだなあくらいの軽い気持ちで見に行ったのですが、今改めて図録を見るとその内容の物凄さに眩暈がします。参考までに主だったものを列挙してみますと、

 俵屋宗達「伊勢物語色紙:大淀」「双犬図」
 本阿弥光悦「鹿下絵和歌断簡」
 尾形光琳「柳図香包」「宇治橋図団扇」
 尾形乾山「錆絵蔦図角皿」「色絵桜図角皿」
 渡辺始興「吉野山図屏風」
 中村芳中「白梅小禽図屏風」
 酒井抱一「扇面貼付散屏風」「桜に小禽図」「白蓮図」「松風村雨図」
 鈴木其一「水辺鵞鳥図屏風」「朴に尾長鳥図」
 神坂雪佳「金魚玉図」「白鳳図」

 というような具合で、細見美術館のコレクションを中心に個人蔵と思しき作品もかなり出ていて、規模は決して大きくなかったのですが素晴らしく充実した琳派展でした。しかし当時の千尋は悲しいかな、そもそも「琳派」という言葉を知ったのもこの時が初めてという超初心者だったこともあって、其一の鵞鳥や雪佳の金魚(笑)のようなインパクトの強い少数の作品以外は殆ど記憶に残っていないのです。(涙) まあ美術館所蔵のものはその後色々な機会に再会できましたが、その後一番好きになった抱一の作品の記憶がまったくないのが悔しくてもう…(凹)

 ともあれ、この時「たらし込み」という変な名前(笑)の技法を初めて知ったことはよく憶えていて、ここから琳派との、ひいては抱一との本格的な関わりがスタートしたのでした。ただしそれを自覚するまでにはもう少しかかったので、おかげでこの年にはもうひとつ思い出すたび悔しい美術展があったりするのですが、それについてはまた次回。

タグ :

再び銀屏風

 2008/02/13(Wed)
本日調べ物の最中に、酒井抱一の「月に秋草図屏風」(ペンタックス所蔵)についての論文を見つけて早速読んでみました。それによると抱一の俳句で「月」が読み込まれているものには、故人を追想する内容のものがしばしば見られるそうで、「月に秋草図」ももしかすると追善のために描かれたものではないだろうかという、なかなか興味深い内容で面白かったです。「夏秋草図屏風」に尾形光琳への敬慕を込めたとする説は有名ですが、もっと身近な親しい人を懐古するものがあってもおかしくないかもしれませんね。

で、この論文の中で「抱一にとって秋の月光は金だったのではないか」という意見がありまして、ちょっとおやっと思いました。確かに抱一の金屏風にも月夜を描いた絵は「月に秋草図」を始めいくつもありますし、そればかりか金泥で月を描いた掛け軸もありますから、抱一本人がそのような意識で描いたこともあった可能性は大いにあります。
ただ、本やら図録やらを色々ひっくり返していてふと気付いたのですが、月夜を描いた金屏風の場合、ほぼすべてに共通しているのが「月」そのものが描かれているということです。それに対して、「夏秋草図」を始めとする銀屏風はいずれも月は描かれていませんが、これは玉蟲敏子氏の指摘にもあるように、銀地そのものが月夜を暗示していると素直に解釈していいと思うのですよね。その点「月に秋草図」の場合、月そのものを銀で描いているのだから背景を銀地にはできなかったでしょうし、月光を金で描くことはあっても金こそが抱一の月光の色だと断言するところではいかないのではないかなあと(素人考えですが)思うのでした。

ともあれ、そんなこんなで色々読み返していたら、ここしばらくご無沙汰している出光の「紅白梅図屏風」が見たくなりました。抱一は桜も好んで描いた人ですし、紅白梅図というと何と言っても光琳が有名ですけれど、抱一の梅には次回いつ会えるでしょうね?


     月一輪梅の薫は何処より      抱一

タグ :

うーんうーん;

 2008/02/12(Tue)
今春奈良国立博物館にて、特別展「天馬―シルクロードを翔ける夢の馬―」が開催されるそうですね。
天馬・ペガサスというのは元々大好きなモチーフで、しかも今回は単なる企画展示とかではなくばっちり「特別展」ということで大いに関心があるのですが、開催期間が4/5-6/1というのは非常に痛い…ただでさえこの時期って極めつけに多忙な上、今年は京都の源氏物語千年紀でもかなり時間取られる予定なので、この上奈良まで足伸ばすのはかなりきついのです。ううう、どうしよう…
(それにしても、協力の中に「JRA」があったのにはちょっと笑ってしまいました)

タグ :

思い出の美術展(1) 金と銀 かがやきの日本美術

 2008/02/10(Sun)
 最近本棚や押入れを引っ掻き回していたら、古い図録や雑誌などが色々出てきまして、改めて読み返してみて大変懐かしくなりました。というわけで、かなり古い話が多いですが(笑)、今まで行った中で特に印象深かった美術展の思い出話などしてみようと思います。

 まず第一回は、1999年東京国立博物館開催の「金と銀」です。

「平成館開館記念特別展」とあるように、東博もかなり力を入れて開催したらしきこの美術展、とにかく物凄い内容でした。タイトルからしていかにも豪華絢爛なイメージを裏切ることなく、かの有名な国宝「漢倭那国王」金印に始まりひたすら金銀のまばゆい世界が繰り広げられ、例によってあまりの数の多さに今では殆ど憶えていません。(しかも全体の約三分の二が国宝もしくは重文なのだから恐ろしい。笑) ともあれ、金無垢・銀無垢の工芸品のみならず、金箔や截金を施した仏像、金銀文字の経典に砂子の料紙や絵巻、蒔絵の漆細工に金彩銀彩の焼き物等々、図録を見るだけでも質量共に素晴らしく華やかな美術展でした。

 で、そんな中でとりわけ千尋の印象に残っていたのはといえば、もちろんのこと酒井抱一です。(^^)
 そもそもこの美術展の企画を聞いた時から密かに期待していたのですが、尾形光琳の「風神雷神図屏風」と抱一の「夏秋草図屏風」が(確かこの時初めて)元通りの表裏一体の姿で展示されており、博物館側もこれを目玉として随分宣伝していました。それまでにも「夏秋草図」自体は二度見ていたとはいえ、予告でそれを知った時からもう楽しみで楽しみで、実際に会場で目にした時はそりゃあ大感激でしたね。しかもその後あのような展示にお目にかかる機会には恵まれていないので、今秋の大琳派展でもぜひまたあれをやってほしいなと今から期待しています。

 そしてもうひとつ、1月29日の日記でも少し触れましたが、この時は「夏秋草図」の他「紅白梅図屏風」(出光)と「波図屏風」(静嘉堂)も揃って一堂に会したという、これまた大変珍しく貴重な美術展でした。まあそれは後になって気付いたことですが、その上この時は抱一作の金屏風はまったく出ておらず、完全に銀屏風のみに絞り込まれていたのです。特に紅白梅図と波図は私もこの時初めて実物を見て、波図のダイナミックさに(本などで多少知ってはいましたが)目を瞠り、また予想以上の銀箔の美しさに見とれたのをよく憶えています。その後も色々な美術展で抱一をたくさん見てきましたが、あれは抱一ファンとしては本当に忘れられない幸せな体験でした。

 ところで、この時は残念ながら俵屋宗達の本家「風神雷神図屏風」はありませんでしたが、その代わりに伝宗達作「蔦細道図屏風」が出ていました。当時あれを所蔵していた萬野美術館(2004年閉館)には結局一度も行けずじまいで残念でしたが、思えば蔦細道もその後見る機会に恵まれていないので、やっぱりそろそろ会えないかなと思っている作品のひとつです。琳派関係は海外流出の優品がたくさんありますが、国内所蔵でも滅多にお目にかかれない作品も意外に多いので、今年の大琳派展では大いに頑張ってほしいですね。

タグ :

向島百花園梅まつり

 2008/02/10(Sun)
そろそろ梅が見ごろの時期ですが、今日から向島百花園で恒例の梅まつりが始まるそうです。百花園といえばその名も酒井抱一が命名し常連だったという場所で、私はあいにくまだ行ったことがないのですが、色々なイベントも開催されるようで楽しみですね。(会期は3月2日まで)

「墨田区文化観光協会」
http://www.kanko-sumida.com/

その他、都内各地の梅情報はこちらから。

「東京都の梅園・梅まつり情報」
http://www.tachikawaonline.jp/local/ume/

なお、「花より団子」が楽しみな方はこちらもどうぞ。(^^)
「向島 言問団子」
http://kototoidango.co.jp/
タグ :

王朝の恋 描かれた伊勢物語

 2008/02/09(Sat)
またまた雪にも負けず(いや正確には降り出す前でしたが)、本日は出光美術館で開催中の「王朝の恋 描かれた伊勢物語」へ行ってきました。天気予報のおかげか幸い混雑はそれほどでもなく、割合ゆっくり作品を鑑賞できて大変よかったです。特に今回は酒井抱一の「八橋図屏風」を久しぶりにじっくり見直したいと思っていたので、絹本金地の状態や花の描写、橋の角度やたらし込みの具合など細かいところまで張り付くように眺めてきました。改めて見ると、尾形光琳の「燕子花図屏風」に比べて本当に保存状態のいい綺麗な屏風で、しかも絹地の質感のためか、他の金屏風とは微妙に違うやわらかさが光沢にも滲み出ているように感じました。

で、その光琳作燕子花図は、未確認情報ですがどうやら秋の大琳派展出品がほぼ確定した模様です。友人によると東京国立博物館の年間スケジュールに書いてあったとかで、考えてみると根津美術館以外であの屏風を見るのはこれが初めてなのですよね。紅白梅図屏風も出るかどうかはまだ判りませんが、ともあれ貴重な機会なので楽しみです。

ところで紅白梅図といえば、今日はちょっと予想外の場所で面白いものに出くわしました。美術展の後で東京ドームのテーブルウェアフェスティバルに行ってきたのですが、何と大好きな藤田喬平の飾筥「紅白梅」が展示されていたのです。(!) 見た瞬間びっくりして飛び上がりましたが、撮影OKというこの貴重なチャンスを逃すわけもなく(テーブルウェア展は基本的に撮り放題なのです)、大喜びでデジカメとケータイに納めてきました。ただどうせならひとつだけでなく、あといくつか他の飾筥も出してほしかったですねー。

fujita.jpg


話戻って伊勢物語展ですが、今回は抱一もさることながら、俵屋宗達の色紙も大きな期待のひとつでした。一番見たいと思っている「芥川」(大和文華館蔵)がなかったのは残念でしたが、他にも好きな「大淀」や「武蔵野」を見ることができましたし、何よりあれだけの数が一度に並んでいるというのはさすがの壮観でした。しかし思わず笑ってしまったのが「見立て涅槃図」で、周り囲んでいるのが老若問わず全員女性だというところがさすが業平…(爆笑)

ともあれ、伊勢はあいにく源氏ほど基礎知識がないのですが、知っている話も知らない話もそれぞれに面白かったです。ただ知っている中では割と好きな「月やあらぬ」や「露とこたへて」等の解説が見当たらなくて、それが少々心残りでした。宗達色紙は文字入りでしたが、他の作品もあらすじだけでなく和歌を解説に入れてほしかったです。
タグ :

続オダマキ疑惑&今週の美の壺・鼓

 2008/02/08(Fri)
先週1日の日記で触れた、酒井抱一が扇子に描いた花の件ですが、その後母親に「確かにあれはオダマキだと思うけど、でも花びらが6枚って変よ」と指摘されました。言われて調べてみると、オダマキの花びら(正確には花弁と萼)は5枚が基本で、抱一の絵はそこがちょっと違うのです。(まあ桔梗もどっちみち6枚ではありえないけど) 植物画の得意な抱一がそんな初歩的なところで誤り(?)を犯すなんて、正直意外だったのですが、たまたま花のない時期に手遊びで描いてうっかり間違えてしまった(笑)とかいうことなんでしょうか…むむむ。

それはさておき、今週はこれまた大好きな「鼓」がテーマでした。楽器としても格好よくて素敵だと思うし、あの見事な蒔絵がまた何とも綺麗なのですよね。東京国立博物館等でも漆器のコーナーによく展示されていて、櫛や硯箱同様目に楽しいお気に入りのひとつです。
ところが、そんな話をしたらまたしても母が「え、私全然見たことないけど」と異議を唱えました。それでよくよく話を聞いてみると、どうも母、鼓胴を見てもそれが鼓だという認識がなかったらしいのですね。(笑) 確かに紐ほどいて皮も取った胴だけだと、解説文でもなければ判らない…かな?
タグ :

雪にも負けず

 2008/02/03(Sun)
yukigesiki.jpg


本日は畠山記念館にて開催中の「花によせる日本の心 梅・桜・椿を中心に」(1/8-3/9)を見に行ってきました。お天気はあいにくの雪で、特に高輪台駅から美術館までの道の悪さには閉口させられましたが、初めて見る雪の積もったお庭の風情はまた新鮮な印象でとても素敵でしたね。(^^) これでお隣の般若亭が残っていればさぞや素敵な借景だったのでしょうが、雪に埋もれた荒地が一層寂寞感を漂わせていたのが哀愁を誘いました…涙。

ともあれ、こちらもお目当ては例によって酒井抱一で、前期の展示(2/7まで)はおなじみ十二ヶ月花鳥図から「椿・梅に鶯図」です。三分咲きの優美な線を描く白梅に、つぶらな瞳の愛らしい鶯が2羽とまり、真っ赤な椿の花がアクセントになって、抱一らしい何とも優雅で品のある掛け軸でした。ここの十二ヶ月花鳥図(旧水野家本)はまだ殆ど見たことがないので、いつかぜひ一式揃ったところを拝見したいのですが、さていつになることやら…

ところで畠山記念館はお茶関係の美術品の多いところですが、今回の展示品の中では尾形乾山の白梅模様の小さな丸い香合が、思わず手にのせてみたくなるような可愛らしい作品でした。また中国で明時代に作られたという六角形の蓋のある青い模様の汁次も、今ならエキゾチックなティーポットとして使えそうな素敵なもので、ちょっと本気で欲しくなってしまったというのはここだけの話です。(笑) その他、野々村仁清の掛け軸や狩野探幽の茶杓など、ちょっと意外な作品もちらほら見受けられて、展示数は少ないですがとても面白い内容でした。2/9からの後記展示にはやはり抱一作十二ヶ月花鳥図から「桜に瑠璃鳥図」も出ることですし、時間が取れればもう一度行ってきたいですね。
タグ :

御神渡りツアーと抱一

 2008/02/02(Sat)
先日諏訪湖に御神渡りが観測されたというニュースを聞いて、急遽昨日諏訪入りして本日拝観式を見てきました。そのついでにかねてから念願だった諏訪大社の上社・下社へも参拝、肝心の御神渡りはかなり小規模ではありましたが、とりわけ上社本宮の古色蒼然とした静謐な佇まいにはすっかり魅せられてしまいましたねー。(しかし手水舎に温泉の湧く神社は初めて見ました。笑) 今回は冬で山も枯木立でしたが、次回はぜひ緑の綺麗な季節にまた行きたいです。

サンリツ美術館


さて、諏訪と言えば美術館も多いところで、今回は北澤美術館とサンリツ服部美術館へ行ってきました。特にサンリツ服部美術館は、以前見に行けなくて涙を呑んだ酒井抱一の「紅白梅図屏風」が今まさに展示中、これを見逃すという手はありません。もちろん喜び勇んで駆けつけ、他のお客も殆どいない空間でじっくりたっぷり堪能してきました。うふふ。
抱一の「紅白梅図」といえば出光の銀屏風がお馴染みですが、こちらの屏風は出光版とは逆に左隻に三分咲きのほっそりした紅梅、右隻に大きく枝のうねる五分咲きの白梅を配して、珍しく粗い織目の絹地に描かれています。勢いのある筆のかすりを残して描いたタッチは、よく知る優雅で緻密な抱一の洗練とはまた少し違うようで、図録の説明によるとまだ琳派の影響の薄い早い時期の作品ではないかということでした。東京ではなかなかお目にかかる機会の少なそうな屏風のひとつですが、秋の大琳派展に来てくれたら嬉しいなあ、とちょっと期待しています。
タグ :

今週の美の壺・和紙

 2008/02/01(Fri)
今回の内容は、今まで番組に登場した和紙関連の工芸品の総集編のような感じでしたね。それはいいのですが、扇子のところで紹介された抱一の絵、あれって以前File.55にも出まして、扇子は涼しさを表現する秋草の絵が多いから、これも桔梗の絵なんですと説明していたのです。…しかしよく見ると、真ん中の一番目立つ花はともかく、横の俯いて咲く花やその下のつぼみ、何より背景にうっすら描かれた実の形を見ると、明らかにオダマキなんですよね。まさか抱一本人が勘違いしていたとは思えませんが、その後誤解は訂正されたのかちょっと気がかりです…(^^;)

参照:ミヤマオダマキ(Wikipedia提供)
タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。