文豪の愛した絵画 抱一と漱石

 2013/03/13(Wed)
 本日、5月から始まる「夏目漱石の美術世界展」(2013/05/04-07/07)のチラシを見かけてびっくり仰天しました。
チラシの一番上にどどんと載っている絵は何と、大好きな酒井抱一のそれも滅多に会えない「月に秋草図屏風」ではありませんか! うわー久々にこれ出るのねー、と喜んで手に取り、裏の説明にざっと目を通したのですが、何気なく図版紹介を見てまたまた卒倒しそうになりました。何故というに、問題の「月に秋草図屏風」は東京国立博物館寄託(!)となっていたのです。えええちょっと待って、あれってペンタックスの所蔵じゃなかったのー!?

 …というわけで、昔は(何故か)旭光学工業、その後名前を変えてペンタックスの所蔵だったあの屏風は、(その後所蔵者が変わったのかどうかは判りませんが)いつの間にか東博寄託品となっていたらしいです。ということは、これからはちょくちょく東博の常設展示でもお目にかかれる可能性が高いというわけで、これは抱一ファンには非常に嬉しいニュースですね。
 私も抱一さんはかれこれ18年ほど追っかけ中ですが、それでもあの「月に秋草図屏風」を見たのは2004年の「RIMPA」展を始めとする2、3回程度でした。抱一の作品の中では「夏秋草図屏風」と並んで重要文化財指定されている傑作で、しかも海外流出したわけでもないにもかかわらず、この屏風はなかなか会えなくてずっと残念だったのです。六曲一隻の金地のほぼ中央に銀の月を配し、墨を基調に淡いたらし込みで渋く秋草を描いた構図で、抱一得意の冴えた銀屏風とはまた違う味わいがありますよね。(この前山種で見た「秋草鶉図」に少し近いけれど、こちらはもっとシックな雰囲気です)

 ところで公式サイトを見ると、この「月に秋草図屏風」は『門』との関連で出展のようですが、抱一と漱石といえばもうひとつ例の『虞美人草』も気になります。もっとも以前このブログでも触れたとおり、あの作品に登場するような罌粟を描いた抱一の銀屏風は今のところ確認されていないので、これはさすがに出しようがなかったのでしょうね。
 それにしても、文豪夏目漱石にまつわる美術品を集めた特別展というのはなかなか面白い企画で、以前行きそびれた澁澤龍彦展もそういえば似たようなコンセプトだったなと思い出しました。ちなみに澁澤龍彦展も抱一さんが出ていたそうですが、抱一さんは文学者に好かれるタイプの画家なんでしょうか?


tsukiniakikusazu.jpg
「月に秋草図屏風」6/25-7/7の期間限定展示です。



 関連過去ログ:虞美人草の謎 青邨・漱石・抱一

スポンサーサイト
タグ :
コメント
お久しぶりです。やはり千尋さんでさえご存じなかったのですね、東博寄託の件。びっくりだけれど、嬉しいですね。保存上の観点からも。
25日に早速見て来ました。私は実物を見るのは初めてだったのですが、期待や想像をはるかに上回る作品でした!見れば見るほど発見があるんですよね。これは間違いなく抱一が本気を出して描いた(笑)作品だなあと感じました。抱一は、例えば芦雪などのように、声高に自己主張する必要のない人だったからか、本気度にばらつきがあるような気がしますが。
小品ながら、高崎市の近代美術館に昨年出ていた「屋形船図」も、抱一の力量に驚かされた作品でした。すごい人ですねえ。
【2013/06/30 00:14】 | みけ #- | [edit]
こんにちは、コメントありがとうございます。「月に秋草図屏風」の寄託情報には、私も正直目を疑いました。一昨年の抱一大回顧展で会えなくて残念に思っていた後だけに、これは本当に嬉しかったです。(ちなみに所蔵はペンタックスからHOYAに変わっていたようです)
ところで、抱一さんが「声高に自己主張する必要のない人だった」というのは、確かにそうかもしれませんね。さらさらと筆のすさびで描いたような小品もそれはそれで味わいがありますが、やはり屏風の大作は気合が違うなと感じて惚れ惚れします。
【2013/07/02 21:30】 | 飛嶋千尋 #- | [edit]












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://ctobisima.blog101.fc2.com/tb.php/347-6bb5173a
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫